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禅のことば~「あるがまま」とは

2012年11月5日

「柳緑花紅」――「自分」をなくした上で見えてくるもの

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 「あるがまま」とは何でしょうか?

 よく、「あるがままの自分」と言いますが、本来の「あるがまま」には「自分」がありません。「自分」という思いを無くした上で見えてくる自然そのもの――それが、「あるがまま」なのです。したがって、誰かが「あるがままの自分」と言った場合、客観的に見ると単なる「わがまま」である場合が多いように思います。

 さて、この「あるがまま」に関して、俳人の松尾芭蕉(江戸時代、1644~1694)は宮城の松島を訪れた時、次のように述べています。

  「絶景にむかふ時は、うばはれて不叶(かなわず)」(服部土芳『三冊子』)

 「松島のあるがままの絶景と対面した私(芭蕉)は、それを表現する言葉が奪われてしまった」――。だからこの時、芭蕉は敢えて歌を詠まなかったそうです(「松島や ああ松島や 松島や…」の歌が芭蕉の作とされる説は誤り)。表現することに対して真摯な彼だったからこそ、感動をそのままには歌いきれないと判断したからなのでしょう。

 その一方で、「あるがまま」をシンプルに表現した禅の言葉があります。それが、「柳緑花紅(りゅうりょく・かこう)」です。

 文字通り、「柳がみずみずしい緑の葉におおわれ、花は紅く咲いている」といった意味です。

 これは、中国の詩人・蘇軾(そしょく、1037~1101、蘇東坡とも)が詠んだ詩の一節です。この1フレーズは、ごく当たり前の自然を描写しているに過ぎません。ところが、そこからは「観察する自分」というものがほとんど感じられません。ある瞬間に蘇軾の触れた自然。それを、そのままに表現し切っています。禅の深い素養も備えていた彼だからこそ、たった四文字で「あるがまま」を表現してしまうことができたのです。

 敢えて沈黙した芭蕉と、四文字で表した蘇軾。どちらも雄弁に「あるがまま」を表していると言えるでしょう。この二人以外にも、「あるがまま」を表現するべく努力した芸術家や作家、音楽家はたくさんいます。皆さんも、「あるがまま」の表現を探してみてはいかがでしょうか。

(上月泰龍)

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Profile
曹洞宗の研究機関で活躍する若手・中堅僧侶4人。
宇野全智(うの・ぜんち)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。山形県大石田町地福寺副住職
上月泰龍(こうづき・たいりゅう)/ 曹洞宗総合研究センター教化研修部門研究生。三重県鈴鹿市泰応寺副住職
菅原研州(すがわら・けんしゅう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。宮城県栗原市城国寺副住職
関水博道(せきみず・はくどう)/ 曹洞宗総合研究センター専任研究員。神奈川県横浜市東泉寺副住職

*4人の詳しいプロフィールは⇒こちら
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