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現代アートを自伝から読み解く

2012年10月12日

『自伝でわかる現代アート』

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『自伝でわかる現代アート』
暮沢剛巳
 平凡社新書/903円
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著者は東京工科大学デザイン学部の准教授で、建築やサブカルチャーなどの分野で精力的に美術評論活動を展開している。建築や写真、デザイン、ポップアートなど20世紀のアート分野で革新的な活躍をし、かつ自身で自伝を手がけたアーティスト8人を厳選。フランク・ロイド・ライトやマン・レイ、草間彌生などの自伝を取り上げ、時代性などを交えて細かく読み解きながらそれぞれのアーティストを創造に駆り立てたものとは何かを探っている。


 一般的にわかりにくいと思われがちな現代アートをやさしく解説してくれるのかなと思った『自伝でわかる現代アート』でしたが、本屋さんでぱらぱらと読んでいたら予想と全然違うことが書いてありました。それで「何なのだろう?この本は」と買って帰ってもういっぺん読み始めたのですが、やっぱり「変わった本だな」と思ってしまいました。

 六本木ライブラリーの上にある森美術館では、よく現代アートの展示をしています。キュレーターの方と一緒に展示を回ったり社員向けのツアーに参加したりして解説をいろいろ聞くと「こういう意味なのか。なるほど」と、いつも思わされます。やっぱり解説があるのとないのとでは全然違いますよね。だから現代アートというのはわかるようになればなるほどおもしろいんだろうし、お勉強をすればするほど見る人の楽しみが増えていくものでもあるんだろうなと思っていました。

 だからそういう意味でも詳しくわからせてくれるかなと期待をして手に取ったのですが、実際には、非常に難しい本でした。客観的な解説もほとんどないため、「こういう思い出があります」「私はこういう風に解釈しています」という、すごく個人的なところに落ちちゃっているんです。

 ただ、批評や評論、作品の鑑賞というものは、こういう風に個人的な視点から読み解いていくことなんだとも思いました。この本でやろうとしているのは、美術館の作品展に1冊置いてある自伝を読み解くといった感じのことです。自伝にある嘘だとか、アーティスト自身が作り上げたイメージだとか。それはもうアーティストなんだから自伝も一種の作品だという見方も確かにありますよね。アーティストの作品としての自伝に対して、美術評論をやっている本だというわけです。

 タイトルが「自伝でわかる現代アーティスト」だったら、最初に私が期待した内容だったのかもしれません。代表作は何で、どういう人で、とか。でもタイトルは「自伝でわかる現代アート」なので、あくまでも著者が見ている対象はアーティストの作品です。だから、自伝や解説書を読むと取り上げられた人を好きになるはずなんですけど、あまりそういうことがありません。逆に書き手の著者のほうに興味が湧くぐらいです。美術に関する著作も多いし、細かいことを常に考えている人なんだなあって。現代アートとは何かとか、普通のビジネスマンの世界ではまったく考えないようなことをずっと考えているんですよね。

 読んで知識が増えたとかアートがわかるようになったという本ではありませんでした。とても難しくて、私も全部は読んでいません。最初はまだ楽なんですけど、本文に入って「こういう解釈もあって、こういう解釈もあって」と続くとちょっと疲れてきてしまうこともありました。こういう本は、隅々まで読む必要はないかもしれません。ただ、こういう本があるということだけは、わかっていてもいいと思います。非常に玄人好みの本でした。

構成/土田 みき=ライター

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Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
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