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再就職の手立てとして読む『君主論』

2012年10月5日

『マキャベリ 君主論』

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『マキャベリ 君主論』
武田 好
 NHK出版/1050円
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2011年秋に4回にわたって放映された、テレビ番組のテキストを単行本化したもの。150ページ足らずの文庫本に収まる内容ながらも帝王学のバイブル的な古典として経営者層からの支持も厚い『君主論』が、実は外交官の座を奪われたマキャベリが再就職の手立てとして記したものだったという視点から改めて読み解いた書。時代背景やマキャベリの人となり、『君主論』に込めた思いなどをわかりやすく示すことで、新たなマキャベリ像を提示している。


 『マキャベリ 君主論』は、書店で見かけて「マキャベリという人物、彼の書いた『君主論』が、今までとは少し違ったものとして私たちの前に浮かび上がってきます」と書かれたまえがきを読んで、「どんな人物像なのかな? ちゃんと読んでみよう」と思いました。

 「『君主論』は就職のためのエッセイ」という視点からすべてを読み解いていて、「その観点から見ると話は違って見えますよね?」というところは確かにその通りでした。自分ひとりで書庫にこもって文庫本の『君主論』を100回読んでもわからないところを、「…という意見もあり」「…という意見もあり」とさまざまな研究内容を教えてくれること自体がとてもおもしろいです。この本をきっかけに、マキャベリや『君主論』の研究を始めたくなる人も出てくるのではないでしょうか。

 『君主論』はすごく力のある文章で、何百年とみんなが読んできている本です。座右の銘にしたがる経営者も多いのですが、この本を読むとそういう風にとらえること自体が大きな勘違いなのかもしれないという気にもなりました。マキャベリの言っていることは「私の言う通りにやっていればいい」「私は生まれついたときからの君主だから全部やりかたがわかっている」ではないんですよね。中間管理職として上の人をいろいろ見てきて「こうやればいい」と学んできたことが書かれています。「マキャベリ様がおっしゃったからその通りにせねばならん」という押しつけがましさも全然ないんですね。

 経営者の人たちが『君主論』を好きなのは、結局マキャベリの言っていることが非常にロジカルだからです。自分の頭できちんと考えることを原点としている人だからです。「冷酷」というよりも、「目的を達成するためにはこれが必要」と現実に沿って考えます。「宗教的にはこうしなきゃいけない」と当時の人たちが考えるところを、「目の前にある問題を現実的にどうやって解決するか」とプロブレムソルビング(問題解決)みたいなことを一生懸命にやっていて。そういうところが、今でも受ける要素なんだという理解ができました。

 情報を集めて実践的にやりましょうと言うので、経営者のように自分で動かなくちゃいけない人や作戦を考えなくちゃいけない人に好かれるということなんですよね。あと、ものすごくよく働いていた人なんだなということも思いました。イタリア人はもっと楽しく遊んでいるようなイメージだったので、こんなに仕事好きなイタリア人がいたのかと驚きました。当時のヨーロッパは戦国時代みたいなものだったので、まずはご主人様にロイヤリティを尽くさなければいけないというのがあったのかもしれないですけど、それでもこんなに必死に、プライベートを殺してまで君主のために働こうとするというのもそうとうな働き者だなって。

 『マキャベリ 君主論』のシリーズ名は「100分 de 名著」で、NHKのテレビテキストです。文章も受け手に配慮していますし、ほしいところに細やかな解説がある丁寧な作りになっています。こういう芸の細かさは、とても日本人的ですよね。とても親切で、わかりやすく、読んだあとに「もう一度『君主論』を読んでみよう」という気になりました。深いのにわかりやすいという珍しい本で、「みんなでゼロから学びましょう」という親切な先生のようなです。高校生のころなどに見ていた教科書ガイドを思い出しました。「なんだ、こっちを見ればいいんだ」みたいな。このシリーズを覚えておこうという気になりました。

構成/土田 みき=ライター

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Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
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