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五輪コーチの金言「相手の心をつかむ話し方」

2012年7月31日

「仕事のヒントは自分の専門分野以外にあることが多い」

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北島康介選手や中村礼子選手を2大会連続五輪メダリストに育てた日本代表ヘッドコーチの平井伯昌さん。

ロンドン五輪には、チームジャパンを、そして北京五輪後から指導してきた背泳ぎの寺川綾選手、

バタフライの加藤ゆか選手、自由形の上田春佳選手を引き連れ、メダル獲得に挑む。

性別も性格も能力も違う選手たちが壁にぶち当たった時、

平井さんはどのような考え方で乗り越えさせてきたのか。

世界で結果を出し続ける名将の思考法は、働く場面でも非常に参考になる。

平井さんの考え方を、8つの「名言」から紹介する。

予想屋から学んだ
相手の心をつかむ話し方

 20代の頃、私は初めて競馬場に行きました。東京スイミングセンターの先輩であり、現在は日本水泳連盟副会長である青木剛さんに大井競馬場や地方の競馬場へ連れていってもらったのです。競馬を楽しむことが目的でしたが、それよりも面白いと感じたのは予想屋と呼ばれる人の話を聞くことでした。

 彼らは、出走馬の朝の調教タイムや、逃げ(最初から集団の先頭に立ちそのままゴール)・差し(後方からスパートをかけて前の馬を抜く)・追い込み(一番後ろからすべての馬を抜く)といった馬の脚質など、あらゆるデータを把握・分析し、勘を交えて予想します。

 予想屋は紙の置かれたマグネットを動かしながら、「第3コーナーでこの馬のエンジンがかかり、最後は…ハイ!」と言う。ついつい身を乗り出して聞いている方は100円を払い、最終的な予想を聞くわけです。

 予想屋がお金を得るためには、競馬好きを納得させる説明が必要です。客を引きつけるには話が面白くないとダメ。独自の情報と、思わず最後まで聞いてしまうような分かりやすくてユニークな話術がないと、客は簡単にお金を払いません。予想が外れたとしても、言い訳が面白ければ、また来週も話を聞いてみようかなと思います。 

 幅広いデータからあらゆる事態を想定し、大胆な仮説を立てて予想の的中度を高める。それをそのまま話すのではなく、いかにシンプルに相手の心に届くように“話す技術”も磨かなくてはいけない。彼らは、その話す技術でお金を稼ぐプロです。

 そんな彼らの話し方に興味を持った私は、これは競泳選手の指導に生かせるのではと思いました。

 競泳の指導法のほとんどは、プールサイドで考えられますが、水泳以外からも学ぶことはたくさんあると思っています。何か面白いことを見つけると、これを水泳の指導に当てはめるとどうなるだろうと考えるのが私の癖。予想屋の話術もしかり。私は彼らの話を聞きに何度か競馬場へ足を運びました。

 彼らの話し方のポイントは、馬が走っている場面を想像させる滑らかな口調と、具体的で分かりやすい状況説明です。

 「第1コーナーではA馬がこんな感じで回り、次のコーナーはB馬が先頭に来て、第3コーナーではその背後からC馬が…」「この騎手は知っているか? ○×レースでDという馬に乗っていて、こんな特徴があるから、今回のレースでは…」

 このような予想屋の話し方を、競泳レース前、選手に試合の流れを説明する時に真似ました。例えば、「50mのラップを計測するとE選手は先行逃げ切りタイプで、F選手は追い込みタイプ。25mを過ぎた時点でおまえは2番手だ。50mで3~4番手になるが、75mあたりから抜け出せる。だから最初から思い切っていけ」。こんな感じ(笑)。

 予想屋の話し方を真似た説明は、選手たちにとって分かりやすかったようです。レース展開を映像のように鮮明にイメージでき、特に康介は慌てることなく試合に臨むことができました。イメージ通りの泳ぎができれば、予想通りの成果につながるのです。

 仕事のヒントは自分の専門分野以外にあることが多い。全く関係ないと思うような異業種の仕事の仕方でも、面白いと感じたことは、とりあえず自分の領域で試してみる。そんな型破りのような行為が、より良い効果を導き出す1つの方法だと思います。

(※『突破論』より)

『突破論~世界で勝ち続ける秘訣、60の“金言”』
日経BP社、1470円(税込)

北島康介選手や中村礼子選手を2大会連続五輪メダリストに育て、伸び悩んでいた寺川綾選手をロンドン五輪で金メダルが狙えるほどに復活させた、競泳日本代表ヘッドコーチ平井伯昌氏の思考法が満載の一冊。結果が出せず、伸び悩んでいる選手を復活させるために、名将は何を考え、どのような指導をしてきたのか。選手のやる気と能力を引き出し、限界を乗り越えさせた育成論を、種目や性別、性格、年齢も違う選手たちの指導例からテーマ別に紹介していく。悩みながらもトライ&エラーで導き出した“平井式メソッド”は、アスリートだけでなく、ビジネスパーソンの教育・成長に役立つはずだ。


構成/高島三幸

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Profile
平井伯昌
平井伯昌(ひらい のりまさ)
1963年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業後、東京スイミングセンターに入社。アテネ・北京五輪の2大会で、北島康介選手に100m、200m平泳ぎで金メダル、中村礼子選手に200m背泳ぎで銅メダルをもたらす。北京五輪後、競泳日本代表ヘッドコーチに就任。2011年上海世界選手権で、北京五輪後から指導している寺川綾選手が50m背泳ぎで銀メダルを獲得。寺川選手のほかに、バタフライ日本記録保持者の加藤ゆか選手、自由形日本記録保持者の上田春佳選手といった教え子をロンドン五輪に送り込む。現在、『日経ビジネスアソシエ』で「平井伯昌の“金メダリスト”育成塾」 を連載中。新著『突破論~世界で勝ち続ける秘訣、60の“金言”』(日経BP社)を発売。平井レーシングチームのHPは⇒こちら/写真:(c)小川拓洋
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