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話の聞き方を徹底的に鍛える

2012年7月24日

『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』

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『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』
マーシャル・B・ローゼンバーグ
 日本経済新聞出版社/1890円
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「NVCを学ぶと、受け止め方(耳を傾ける方法)と与え方(表現)が身につく」とワークショップ参加者が述べるNVCは、共感的な話し合いがベースとなる平和的な問題解決プロセス。本書は1970年代にアメリカでNVC(非暴力コミュニケーション)を体系化・創設した心理学者による2002年発売の基本書の初邦訳で、「観察」「感情」「必要なこと」「要求」という4つのNVC構成要素を、親子・夫婦・同僚・学校など多彩な会話の実例を示しながら解説している。


 『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法』は、ゆっくりゆっくり良さが出てくる本です。言いたいのは「ノン・バイオレント」の部分なんだということが、最後のほうでやっとわかってきました。

 かなり厳しい状況も含めたいろいろなエピソードを交えながら、感情に身を任せないでお互いに話し合いで問題を解決していくやり方が解説されています。世界中で通じる話ですし、徹底して身につけたら大変素晴らしいことだと思います。日本人は空気でふわふわと会話するので暴力性に気がつきにくいところはありますが、ミスコミュニケーションの根本はこういうところにある気がするのでこの内容を理解しておく必要はあると思いました。

 ここに出てくるアメリカ人は、頭に血が上りやすくて冷静さを取り戻すのに時間がかかります。日本人は冷静なんだけどすべてが表面的ですし、あまり物を突き詰めてロジカルに考えないので、本当の気持ちが表に出てくるのに時間がかかります。だから、どっちも大変なんですよね。自分の本当の気持ちを引き出すためには、日本人もアメリカ人もゆっくり時間をかけていろいろなエクササイズをしたり、対話をしたりして、考えなくてはいけないんです。ゆっくりゆっくり考えると、「私は本当は頭にきているんじゃなくて悲しかったんだ」とか、そういうことがわかってきます。

 本の中で「言われたことが何年も気になって、胃に穴があく」という状況が出てきます。何年も前に起こったことは変えられないけれども、よく考えたり相手の立場になってみたりすることで同じ状況が全然違って見えるようになった例のひとつです。世の中にはそういうことが、たくさんあるんですよね。エピソードのひとつひとつを自分が一番頭にきたことや傷ついたことに置き換えて読んでみると、「そういう違う見方があったか」「相手が本当に言いたかったのはこういうことかな」と気づかされるでしょう。そこで世界がガラッと変わるような経験をすると、思わず感情が高まってしまうことがほかにあっても、立ち止まって考えることができるようになるんじゃないかなと思います。

 自分の子どもをしかるときに「ちょっと待ってください。お父さんに考えさせてください」と著者が言っていたように、急いではいけないんです。普段の生活の中で、私たちは急いでしゃべってしまいます。しゃべってしまって、いらいらしていきます。ゆっくりしていないことが、争いを生み出すし、事態をややこしくしているんですね。

 本当に心の持ち方次第ですよね。世界観が変わるでしょうし、本人も楽になるはずです。「思っていることを言葉にする」こと自体が日本人の日常生活にあまりなじまないところはありますが、他人に伝えるかどうかではなく自分の中でしっかり言語化することが大切なんだという気がします。紙に書いておくのもいいと思います。「あなたはりんごがいいですか?みかんがいいですか?」と聞かれたときに「どちらでもいいです」としか言えない状況はありますが、本当はどちらかが欲しいはずです。そういうときに自分がどちらを求めているのかを突き詰めておいたほうが、人生が整理されてくる気がするんですよね。

 サブタイトルはもう一息。サブタイトルの「人と人との関係にいのちを吹き込む法」からは宗教的な印象も受けるし、帯にある「世界中で読まれている『話し方』の教科書」もちょっと違う気がします。自分の気持ちを伝えるよりも相手の気持ちを理解する方が優先的で、「相手の気持ちが伝わって、自分が楽になる方法」みたいな内容です。「聞き方を変えると人生が明るくなる」みたいなタイトルだと、わかりやすいかもしれませんね。

構成/土田 みき=ライター

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Profile
小林麻実(こばやし・まみ)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリー・アドバイザー
早稲田大学法学部卒業、同大学院国際経営学修士(MBA)課程修了。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。同博士課程中退。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、米国ユナイテッド・テクノロジーズ社において、世界15万人の社員による情報・知識の交換および創出を目指し、ヴァーチャルライブラリーを推進。「ライブラリーとは、個人が持つ情報を他者と効果的に交換し、イノベーションを生む場である」というコンセプトを構築し、2002年に六本木ライブラリーディレクター就任。著書『図書館はコミュニティ創出の「場」ー会員制ライブラリーの挑戦』(勉誠出版、2009)他。
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