先月は台風や梅雨前線の影響で、記録的な大雨になったところがありました。宮崎では126年の観測史上、最も雨の降った6月になりました(雨量は955ミリで平年の6月の2.2倍に匹敵)。7月に入っても九州では連日のように1時間に50ミリ、3時間で100ミリを超えるような雨が降り、大きな災害も発生しました。

 一方、梅雨に入ったものの、北陸や東北の日本海側までは前線がなかなか北上しませんでした。新潟では6月の月間雨量が37.5ミリ、秋田では34.5ミリで、ともに平年の3割未満。120年以上の観測史上、4番目に雨の少ない6月となっています。

 さて、この「1時間に50ミリ」という雨、どうやって測っているかご存知ですか?予報士になる前の私は、「メスシリンダー」のようなもので溜まった雨水の目盛りを読んでいるものだと思っていました。そのように思っている方も多いかもしれませんが、実は、違うのです。

 実際、目盛りを読む雨量計もあるのですが、それだと器の水を定期的に捨てる必要があったり、大雨になると器から水が溢れたりといったことがあり、人の目と手を介さないと測定できません。

 全国のアメダス(AMeDAS;Automated Meteorological Data Acquisition System;地域気象観測システム)で使われている雨量計は、水を溜めるのではなく、「溜めては流す“ししおどし”システム」なんです。

雨量計の内部をみると、雨を集める漏斗(じょうご)の下にはシーソーのように左右に倒れるししおどしがあります

 このししおどしの正式名称は「転倒ます」。「ます」は0.5ミリの雨が溜まると傾き、もう片方に雨水が流れ込む仕組みです(左写真)。これなら雨水を捨てる手間はかからず、傾いた回数をカウントすれば雨量がわかります。例えば、1時間に10回カウントしたら0.5×10で5ミリの雨。平均すると、ししおどしが1回「カタン」と倒れるのに6分かかることになります。

 九州などで観測されている1時間に80ミリという雨の時は、22~23秒で「カタン」と倒れ、1時間で160回も激しくカタカタと音をたてることになります。雨の量では想像がつかなくても、ししおどしの音に置き換えると、弱い雨か激しい雨かがイメージしやすいかもしれませんね。