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ウーマンズ・チェンジメーカーズ

タイへの読み聞かせの旅を企画
えほんプロジェクト
伊藤美和さん

2010年1月27日

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 その光景を見たときに、やっていて良かったと思った。場所は、タイ北部チェンマイにあるHIV孤児の施設「バーンロムサイ」。日本人女性が絵本を取り出すと、子どもたちがわっと歓声を挙げて集まる。読み聞かせるタイ語の発音はたどたどしいが、子どもたちは膝に乗り、ときには読み手にもたれかかって目を輝かせて聞き入る――。

「絵本はコミュニケーションの手段。自分に向き合ってくれている人がいるということ自体が、子どもたちにとっては特別で嬉しいことなんです」と話すのは、「タイ・チェンマイ 絵本読み聞かせの旅」を企画した伊藤美和さん(30歳)だ。

タイ・チェンマイのHIV孤児の施設「バーンロムサイ」への絵本読み聞かせの旅を企画する伊藤さん。「絵本を通じて子どもたちに愛情を伝えたいですね」

 自身、07年から1年間、バーンロムサイでボランティアスタッフとして働いていた。子どもにかかわる仕事がしたいと思ったのは、大学卒業後、カフェ経営に携わっていた頃。

「カフェってサービス業で、お客様に喜んでいただいて、自分も嬉しいというものなんですが、ふと“私はこの人生で誰を喜ばせたいんだろう”と思ったんですね」

 頭に浮かんだのが、休みが取れるたびに旅行した中南米やアジアで出会った子どもたちの姿だ。

「どんな場所でも子どもたちは元気でエネルギーに溢れていました。でも、生まれた場所で人生が決まってしまうような世界はおかしいなぁと。あの子どもたちのために自分ができることを仕事にしたいと模索し始めたんです」

 その後、NGO団体でも勤務するが、子どもと直接かかわりたいという思いは一層募っていく。ひょんなことから、バーロムサイでのボランティアスタッフ募集を知り、迷わず応募した。

 現地では約30人の孤児たちと生活を共にした。そんなある日、一冊の絵本が日本から送られてきた。タイに行く前から、仲間と絵本を制作していた伊藤さん。出来上がったものが送られてきたのだった。

ツアーでは、絵本に出てくるお菓子を子どもと一緒に作ったりも。最終日はツアー参加者も子どもも涙のお別れ。帰国後も手紙の交流が続く

「日本語の絵本ですし、私のタイ語がもっと上達したら読んであげようと思ったんですけど、子どもたちに見せたら、みんな“読んで、読んで”と(笑)」

 それからは、子どもたちが学校から帰ってきてからの「読み聞かせの時間」が毎日の日課になった。

 約1年のボランティアスタッフ期間を経て日本へ帰国。子どもたちとは離れがたかったが、「次に進まなきゃという気持ちが強かった」という。

5歳から18歳まで約30人の子どもが暮らすバーロムサイは、日本人女性・名取美和さんが代表を務めていることでも広く知られている
タイ語訳を貼り付けた日本語の絵本。翻訳作業は知人のタイ人に依頼。訳語の貼り付け作業はタイのHIV感染者の団体に有償で依頼している

 帰国後、「私ができること」に思いを巡らせる日々が続く。
「私って絵本を作ったことがあって、読み聞かせをすることが好きで…そうだ!絵本を読み聞かせに行こう!と思ったのがこのプロジェクトの始まりです」

「タイの子どもたちに温かな時間を届ける“読み聞かせの旅”」に関する企画書を作って、旅行会社に売り込みつつ、起業家支援団体の経営相談会に参加して、様々な人からの意見を聞いた。

 そして、ついに昨年8月~9月に第1回・2回のツアーを実施。11人が参加した。現地へ持っていく絵本は周囲に呼びかけて集め、タイ人の知人に頼んで絵本をタイ語訳。参加者は事前の講習会やテープで発音を練習してツアーに臨んだ。

 3月には第3回・4回のツアーを行う。今は環境系の団体でアルバイトをしながら、勤務時間外にツアーの企画を進める日々。「確実に絵本を待っている子どもたちがいる」という事実が心の支えになっている。タイでは、絵本は1冊約300バーツ(約1000円)もする高価なもの。

「でも、子どもたちは物語が大好き。読み聞かせツアーを継続的に実施すると同時に、タイ国内の他の孤児院や山岳民族の子どもたちにも絵本を届けていきたいと思っています」

Profile
伊藤美和 (いとうみわ)
大学卒業後、カフェ経営、環境NGOでの勤務などを経て、07年春から約1年間、タイ北部チェンマイにあるHIV孤児の生活施設「バーンロムサイ」でボランティアスタッフとして働く。帰国後、子どもたちに笑顔を届ける「絵本読み聞かせの旅」を企画。昨年8月に第1回のツアーを実施。今年3月にも第3回・4回目のツアーを行う予定
http://www.jeps.co.jp/(ツアー問い合わせ先)
http://me-ito.cocolog-nifty.com/blog/(ブログ)

取材・文/田中美和=日経ウーマン編集

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