「専業主夫」と聞いてあなたはどのようなイメージがありますか。「男性の家庭参加」の必要性や国会議員の育休取得についての議論が盛り上がる中、「専業主夫」についての著書を出版した少子化ジャーナリストの白河桃子さんに話を伺いました。

白河桃子
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
白河桃子(しらかわ とうこ)

「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプランニング講座」主宰。山田昌弘中央大学教授と共著の『婚活時代』において婚活ブームを巻 き起こす。一億総活躍国民会議民間議員。著書に『妊活バイブル』『女子と就活』『産むと働くの教科書』など。最新刊に『「専業主夫」になりたい男たち』(ポプラ新書)
ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa
twitter:http://twitter.com/shirakawatouko
facebook:https://www.facebook.com/shirakawa.toko

――昨年10月、白河さんが顧問を勤める「主夫の友」が主催するイベントに伺った時に、主夫の方が、「男性も“当事者意識”を持って、家事や育児をするのが大事」とおっしゃっていたことが印象に残っています。これこそ世のワーママたちが夫に対して求めていることであり、けれども、どこかで諦めてしまっていることでもありますよね。

白河さん(以下、敬称略) まさしくそうなんです。この間も、あるイベントで多くのワーママから、「どうしたら夫にもっと育児に関わってもらえるのか」という声が挙がっていました。「もっと」に込められているのは、“お手伝い”ではなく、“自分ごと”として関わってほしいということ。そのために散々ぶつかって頑張ったという人もいれば、もう諦めてしまって、「パパは死んだものだと思っている」という意見も…。パパが家の中で“リビングデッド”になってしまっているんですね。

――切実ですね。イクメンが増えたといわれますが、まだまだ両立の壁に悩むワーママは多い。妻の負担がなかなか減りません。

白河 私も、若い世代の共働き夫婦はもう少し状況が良くなっているかと思っていたのですが、まだまだ超えるべき壁があると痛感しました。社会進出はある程度進んできたけれど、相変わらず女性が家庭内のすべてを引き受けて辛いという状況。これは一番よくない傾向です。「超少子化」状態はそうやって起きていくんです。イクメンも増えたけれど、なかなかお手伝いの範囲を出ない。例えば、保育園探しは非常に大変ですが、ほとんどはママがやっています。

 「男性の働き方が変わらない」というのも妻たちの怒りのひとつです。夫は相変わらず忙しいし、飲みに行ったりもしてる。そうではなくて、家庭のことに一緒に関わってほしいのに、というのが妻たちのホンネです。

――新刊の『「専業主夫」になりたい男たち』によると、「今や11万人の夫が妻の扶養家族に入っている」とか。意外といるのですね。

白河 とはいえ、専業主婦は680万人といわれていますから、まだまだ少数派ではあります。実はこの本を書いていて一番驚いたのは、「実は…うちも主夫なんです」とカミングカウトしてくれる人が多かったことなんです。なかには、かなりキャリアのある有名な方も。特に、均等法第一世代である50代のキャリアウーマンたちは、祖父母のサポートがないと両立が難しい時代でした。それまでこの年代のキャリア女性たちの多くは、独身か子どものいない人たちと思われていましたが、実はその他にも、「夫が主夫としてサポートしていた」という層も少なからずいたということが分かったことが大きな収穫でしたね。「キャリア女性の裏に主夫あり」です。

――とはいえ、「主夫」に対するイメージは、まだまだ誤解が多いようです。なかには、「主夫=ヒモ」という声も…。

白河 恋愛本の教祖でもあるAV監督の二村ヒトシさんに聞いたところ、「ヒモは女性のパンツ一枚洗わない人」とのこと。主夫は、家事や育児をするのですから、まったく違います。特に、「主夫の友」のメンバーなんて、家事や育児の向き合い方が徹底しています。