naka/PIXTA
naka/PIXTA

 こんにちは。弁護士・資格カタリストの鬼頭政人です。先日、宅建士試験を受け、今、合格発表待ちです。

 さて、先日、大手企業が手掛けたマンションで起こったくい打ちの不正による傾き事件、どうなるのでしょうか。

 「大変ね」「そんなマンションを購入してしまって災難だな」…。ヒトゴトとしてこの事件をご覧になっているかもしれません。でも、誰もがトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。

 現在、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられた住宅の取得やリフォームに関するトラブル・不安の相談件数は、年間約2万6000件。国民生活センターに寄せられた賃貸の敷金・原状回復トラブルの相談件数は約1万4000件にのぼっているようです。更に、悩みを相談できずに抱えている方や個別に弁護士などに相談している方、その他の悩みなどを含めると、実際の住宅トラブルはこれらの合計である4万件を大きく超えるものと思われます。

 「資格カタリスト」であり、「弁護士」として活動している経験から、「自分は大丈夫」と思っているあなたにこそ注意していただきたい、住宅に関わるトラブル対処法をお伝えいたします。

 今回はまず、トラブルが起こった際の解決法ご紹介したいと思います。

<ケース1>
今回の「傾いたマンション」のように、住んで思わぬ不備があった場合、退去する際に引っ越し代などをもらえる?

 これは難しい問題です。

 貸主は、傾きなどのトラブルについて直す義務(修繕義務)がありますので、借主としては、それを直すことを要求することができます。これが履行されない場合には、借主としては、貸主が義務(借主に問題ないマンションを使用させる義務)を履行しないとして、賃料の一部または全部を支払拒絶できる場合があります(トラブルの程度により変わってきます)

 また、マンション自体の傾きのような重大なケースでは、貸主としては、借主の安全を確保するため、立退きを求めるケースも考えられます。このような場合には、立退料をもらえる場合が多いでしょう。

 ただ、先方の要求で立ち退く場合、貸主自身が使いたい、といったケースではなく、人の生命の安全確保のための立退きの場合には、立退料の金額は少なくなるのが一般的です。