共有しない予定の中に、夢を現実化するヒントが隠れている

 スマートフォンやタブレットなどITツールが進化充実し、デジタルのカレンダーや予定表を活用する人も増えてきています。デジタルのほうが予定を共有できますし、予定変更もワンクリックで済んだり、予定変更を自動的にメールで知らせてくれたりと便利です。職場ではデジタルカレンダーが一般的でしょう。でも、予定は共有していくものばかりではありません。「自分との予定」についても、きちんと考えていますか? 相手と予定を共有することに意識しすぎて、ついつい「自分との予定」をおろそかにしてしまいがちになっていませんか?

 なぜ、自分との約束はついないがしろにしがちなのか。それは、迷惑を被る人が自分ひとりで済むから。自分の心が痛むだけで人に迷惑をかけなければいい、と自分の都合をひたすら我慢し続けていくと、本当は何をしたいのかの判断軸も曇ってしまいます。じっくりと腰を据える余裕がなくなり、人にあたってイライラカリカリしてしまいます。忙しい頭では、自分の夢のことを考えている状態にはなりません。ですから、ついおろそかにしてしまう自分時間を、他の人がいる約束と同様に、大事に扱ってあげましょう。そして、自分時間を使って見つけた「夢」を目標に落とし込み、周囲に共有化していきましょう。

自分を大切に扱うコツは、始業前後の「アナログ時間」

 アナログ手帳には「人とではなく、自分とつながる」機能があります。なぜなら、デジタルのように機能が複雑でなく、シンプルだからです。手帳と向き合い、ペンで書く。他に何もしようがないから、いやがおうにも自分の頭、心と向き合うことになるのです。

 スマホ、タブレット、PCに常時繋がりっぱなしの環境に慣れてしまうと、「ついで」にいろいろしたくなりませんか? 漢字を忘れた、といって辞書ソフトを立ち上げたとき、それだけではまず終わりません。そのついでにメールをチェックしちゃおう、とか、あの人との予定は何時にどこだっけ?と思い出すために検索だけするつもりが、ついSNSを覗いてしまったり、といったように……。アナログ手帳なら、そんな誘惑とは無縁です。

 ネットが仕事の中でも欠かせないないインフラになっている今、放っておいても仕事中はメールなどのデジタルなやりとりが待っています。そんな時代だからこそ、せめて始業前後は、ひとり静かに自分と向き合う時間を確保しましょう。そんなときに活用してほしいのが、アナログ手帳です。

アナログ手帳は「やらない予定を決める」ためのツールである

 「手帳術」「時間術」という言葉で思い浮かべるイメージは「効率的にテキパキものを進める」というものが多いようです。「なんでも効率的につめこんで、あれもこれも要領よくやっていくにはどうしたらいいですか?」という質問もよくいただきます。でも実は、「あれもこれも全部やる」ことが重要なのではなく、「本当にやりたいことを見つけて、それ以外のことを効率化する」ことが最も大切なのです。

 バケツに大きな石を入れてから水を入れればあふれそうなところで止められます。でも、たくさん水を入れてから大きな石を入れると、とたんにあふれてしまいます。“バケツが自分のキャパシティ”、“大きな石が大切なこと”、“水がその他の予定”です。自分のキャパシティを把握して、一番大切だと思うことを最初に入れてから、その他のことを入れるのです。

 つまり、本当に大切なことを決めることが、もっともスケジュール管理において重要なことなのです。いつも忙しい、予定が読めない、焦っている、という人は、時系列にきた予定をそのまま処理しようとしていたり、たいして大切だと本当は思っていない用事を消化できない、と落ち込んだりすることが多いのです。

 この考え方に慣れると、重要度が低い作業がスケジュール通りに行かないことがあっても、あまりストレスを感じなくなりますよ。