科学技術分野でこれまでにない挑戦を行い、国内外に影響を与えた
未来をつくるサイエンティスト賞

髙橋 政代さん(54歳) たかはし・まさよ
理化学研究所 多細胞システム形成研究センター
網膜再生医療研究開発プロジェクト プロジェクトリーダー・眼科医

iPS細胞を使った世界初の移植手術を
目の難病患者に実施。
再生医療の実用化を大きく前進させた先駆者

 2014年9月、iPS細胞から作った網膜の細胞を、目の難病である加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の患者に移植する手術を実施。世界初のiPS細胞の移植手術となった。2015年9月には、術後の経過も問題ないと発表した。髙橋さんは20年前の1995年から網膜の再生医療の研究に取り組み、2007年に京都大学の山中伸弥教授が人間の皮膚細胞からiPS細胞を樹立したとき、いち早くアプローチ。そこからわずか7年で移植手術を実現し、再生医療の実用化を大きく前進させた。


独自の経営手腕によって大きな成果を出し、多くの人に勇気を与えた
情熱経営者賞

石坂 典子さん(43歳) いしざか・のりこ
石坂産業 代表取締役

窮地に立たされた産業廃棄物処理会社を
徹底した社員教育と環境に配慮した経営で
世界が注目する企業に変革させた

 1999年、埼玉県所沢市で収穫された農作物からダイオキシンが検出されたという報道で、父親が経営する産廃処理会社が批判の矢面に立たされる窮地に。会社と社員を救うために、30歳で自ら社長に志願。焼却事業をやめてリサイクル事業に特化し、徹底した社員教育と、環境に配慮した設備投資、周辺緑地の整備を行うなど、革新的な取り組みを次々に実施した。13年間で年商25億円を47億円に伸ばすとともに、国内外から年間8000人がその取り組みを見学に訪れる注目企業に変革させた。


社会がより良い方向へ進むために、大きな変革を起こした
チェンジメーカー賞

村木 真紀さん(41歳) むらき・まき
特定非営利活動法人 虹色ダイバーシティ 代表

性的マイノリティーが働きやすい職場づくりを目指し、
年に100件以上の講演やコンサルティングを実施
企業のLGBT施策に大きな影響を与えた

 日本の人口の5%いるといわれるLGBT(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー)の職場での働きにくさを問題視し、自らも当事者として2012年から支援活動を開始。コンサルタント経験を生かし、企業・自治体などで講演やコンサルティングを年100件以上実施する。これまでに研修を行った企業は50社以上。村木さんの影響で、社内規則に「性的指向・性自認による差別禁止」という項目を追加したり、LGBTの消費者向けのサービスを始めたりと、企業のLGBT施策を大きく前進させている。



 「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」は、(1)働く女性のロールモデルを掲示、(2)組織の中に埋もれがちな個人の業績に光を当てる、(3)活躍した女性たちを通して時代の変化の矛先をとらえるという主旨のもと、1999年から毎年実施するアワードで、本年が17回目となります。『日経WOMAN』は、1988年の創刊以来、「働く女性」をバックアップしてきました。今後も「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を通じ、社会で活躍する女性を表彰することで、時代を担う女性たちを応援していきたいと考えています。なお2015年12月7日発売の『日経WOMAN』1月号では受賞者紹介と審査結果の詳細を掲載いたします。

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」の詳細については『日経WOMAN 1月号』をご覧ください。