人にはそれぞれの役割がある

――“「あなたのためを思って……」って、自分のためでしょう？”。これもすごくわかります。「あなたのために！」を振りかざす人って、頼んでもないのに勝手に四苦八苦して、挙句に「こんなにやってあげたのに！ 恩知らず！」なんてキレ出すからたちが悪い。“自分がやりたいからやる”そうシンプルに考えたらいいのにと思います。

　よかれと思って言ってくれるのはありがたいけれど……っていうね。すごくいいアドバイスをしてあげてるつもりでいるから、どんなにズレたことを言われていても無碍にはできませんし。

――でもヒロシさんに「もっと明るいネタをやったら？」「あなたの芸風は暗すぎるからダメ」って、根本的なキャラや芸風に対して、わかってないな～って意見がくると……しんどいですよね（笑）。

　明るいネタをやるのは“ヒロシ”ではないかな（笑）。

　それはそういった芸風の芸人さんの役割で、僕には僕の役割がある。

　何事にも役割というものがあるんです。どちらがいい、悪いではなく、明るい芸風の人の担う役割もあれば、僕みたいな芸人がやらせてもらう意味もある。

　ポジティブもネガティブも、そのくらいの違いでしかないんですよ。圧倒的にポジティブ＝いいこと、ネガティブ＝悪いこと、とされているには違和感を覚えます。

　ネガティブだって100％悪いことではない。ポジティブになれない自分を否定して追いつめられてしまうくらいなら、無理なんてしなくていい。頑張らなくていい。

　ヒロシはヒロシの芸をやります。

　だから、あなたも無理してほかの誰かのようにならなくてもいいのです。自分を偽ってまでポジティブになろうとしたり頑張ったりしなくてもいいとですよ。それなりに人は生きていけるとです。

取材・文・インタビュー撮影／大川内麻里

【Infomation】
『まいにち、ネガティブ。』ヒロシ 著（自由国民社）

「前向きじゃなくても生きていける」とのコンセプトで綴られた31のネガティブワード。内向的で芸能活動に支障をきたすほど人見知りなヒロシの後ろ向きな言葉になぜかじわっと癒される。
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