最近の20代の若者は恋愛をしたがらないという。この注目の話題に鋭く切り込んだ新著『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)を9月に上梓したマーケティングライターで世代・トレンド評論家の牛窪恵さんに、現代の若者の恋愛&結婚観や、社会的な背景、上の世代がどのように向き合えばよいのかをたずねた。

牛窪 恵(うしくぼ・めぐみ)さん
マーケティングライター。インフィニティ代表取締役。財務省財政制度等審議会専門委員、内閣府・経済財政諮問会議 政策コメンテーター。1968年東京生まれ。日大芸術学部映画学科(脚本)卒業後、大手出版社に入社して編集、PR担当後、転職し、2001年に起業。執筆や講演のほか、テレビ番組のコメンテーターも務める。主な著書に『男が知らない「おひとりさま」 マーケット』『独身王子に聞け!』『ただトモ夫婦のリアル』(いずれも日本経済新聞出版社)ほか。13年、経済産業省「ダイバーシティ経営企業100選」 サポーターに就任。公式ブログ「牛窪恵の気分はバブリ~♪

恋愛は面倒だけど、セフレやソフレがいる不思議

――20代の若者が恋愛から遠ざかっている背景には、そもそもどういうことがあるのでしょうか?

牛窪:いろいろな要因があります。ひとつは、バブル崩壊後の右肩下がりの時代に育って、将来に対する漠然とした不安があり、見えない未来よりも目の前の小さな幸せを守ろうという気持が強いということもあるでしょう。恋愛は別の世界に出て行くことなので、前向きになれない。安倍政権がアベノミクスや正社員の賃上げ要請などをしましたが、今の若者は「そうはいってもいつまでも続かないだろう」と慎重で、消費に回さず貯金をするし、恋愛においても積極的な行動に移ろうとはならない。恋愛にも「自己責任」を強いられる世の中だからです。

 また、男女平等社会といわれているけれども、こと恋愛に関しては男女不平等が、大人社会に根強い。告白は男性から、デート代は男性が持つなど男性は「男らしさ」を、女性は可愛らしさやけなげさなどの「女らしさ」が求められるという古風な男女不平等の価値観が依然として残っていることも、恋愛を阻害しています。本命の彼・彼女にはそうあらねばならないのかな・・・と感じていますが、非正規雇用などで経済力などの不安から自分には無理そうという諦めにつながったり、面倒くさいという気持になったりしているのです。