キウイフルーツの健康機能に関する初めての国際シンポジウムが、ニュージーランドのタウランガ(2016年4月12-14日、ASBアリーナ、主催:国営リデット研究所、後援ゼスプリ インターナショナル)で開かれ、16か国185人の研究者らが集まった。国際的にも話題の腸内細菌との関連や、消化器疾患に与えるキウイフルーツの効果など、最新の研究成果が発表された。

 消化器系に対するキウイフルーツの健康作用については、ニュージーランド・オタゴ大学のリチャード・ギャリー教授らが実施した、ヒト対象のランダム化クロスオーバー試験の結果が発表された。便秘型の過敏性腸症候群の患者(IBS-C)や便秘を訴える成人に、1日2個のキウイフルーツを4週間摂取してもらったところ、排便回数や便の形状、腹痛などが有意に改善した。

 今回の研究は、ニュージーランドとイタリア、日本の3か国共同の臨床試験「ゼスプリ グリーンキウイフルーツが消化器系の健康機能にもたらす効果」を調べるプロジェクトの一つ。今後、イタリアや日本での臨床試験も同様の実験プロトコルでスタートする予定だ。日本では、東北大学大学院医学系研究科の福土審教授を中心としたグループが担当、まもなくヒト試験が始まるという。

 福土教授は、キウイの便通改善作用について「日本人を対象にした介入試験はこれから行うが、摂取後の便を調べて腸内細菌叢の変化も分析する予定だ。ストレスなどによる過敏性腸症候群は、国内でも患者数が増えている。今回のニュージランドでの研究発表では、1日2個のキウイフルーツでよい結果が得られており、日本でも期待したい」と自信をみせた。

 便通改善作用のメカニズムについても研究が進む。ニュージランド・リデット研究所のカーリーン・スタルク博士は、キウイフルーツに含まれる水溶性と不溶性の食物繊維の働きについて発表。キウイ摂取により便のかさましや腸のぜん動運動を促す作用が期待できるとし、腸内で発酵をうけて短鎖脂肪酸を生成すること、乳酸菌や乳酸桿菌などを増やすプレバイオティクス作用を持つことなどを、動物試験や細胞試験によって調べた結果を紹介した。キウイには特有のたんぱく質分解酵素アクチニジンが含まれているが、これが消化を助ける作用も期待できると話した。

 腸内細菌叢に与える影響も明らかになりつつある。食品産業技術総合研究ニュージランド研究所のポール・ブラッチフォード博士は、大腸内モデルを使った研究結果を発表した。緑肉種(グリーン)キウイフルーツと黄肉種(ゴールド)キウイフルーツの添加によって腸内細菌叢のうち、特にバクテロイデス属、パラバクテロイデス属のほか、善玉菌のビフィドバクテリウムが著しく増加したことなどを説明した。

 日本へは4月中旬にニュージーランド産キウイをのせた第一便の船便が出発。スーパーやデパ地下では5月の連休前後が出盛り期。日本では果肉が黄色くて甘みの強い黄肉種のゴールデンキウイを中心に、スムージーの材料としても人気が高いが、お通じ対策としても今後は注目を集めそうだ。

 ちなみに黄肉種(ゴールデンキウイ)は、日本食品成分表2015年版(7訂)から収載された。食物繊維量は、100gあたり緑肉種は2.5g(水溶性0.7、不溶性1.8)で黄肉種の1.4g(同0.5、同0.9)に比べて多い。一方、ビタミンCの含有量は100gあたり黄肉種は140mgと、緑肉種69mgの2倍近く含む。

◆変更履歴:2段落目、1日2個のキウイフルーツを4週間摂取に修正しました(2016年5月27日)。

ライター/松岡真理