厚生労働省は、3月7日に「第1回食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」をスタートさせた。議論の中心は「日本のHACCPの国際標準化」と「HACCPの義務化」の2つが大きな柱となる。

 HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生する微生物汚染等のすべての危害をあらかじめ分析し、その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどのような対策を講じればより安全な製品を得ることができるかという重要管理点を定めて、これを監視することにより製品の安全を確保する衛生管理手法。GMPやISO22000、FSSCなどの製造規範の基礎になるものでもあり、機能性表示食品制度のガイドラインにも織り込まれている食品の安全基準のスタンダードである。

 食品全般の衛生管理の国際的なスタンダードで、1993年にコーデックス委員会においてガイドラインが策定されて以降、世界的にHACCPの普及が進んでいる。一方、日本では、1998年の食品の製造過程の管理の高度化に関する臨時措置法(HACCP支援法)以降、大手事業者では導入が進んでいる一方、中小事業者においては、普及が思うように進まず、全体の導入率は30%にも満たない。

 2013年9月には「食品製造におけるHACCPによる工程管理の普及のための検討会」が開催され、中小事業者も含めたHACCPの取り組みを支援するための具体的な普及方策である「我が国におけるHACCPのさらなる普及方策について」の提言が取りまとめられており、2015年1月1日には「HACCP企画推進室」が設置されていたが、それでもなかなか思うような進展がなかった。

 実は本年1月13日、中央紙の一面トップに「食の安全に「国際標準」 HACCP義務化 工程監視、記録 来年以降、段階的に」という記事が踊った。2020年の東京オリンピックに向けて、日本としても食品の安全安心の国際標準化は避けては通れない大きな課題となっている。

 厚生労働省は、秋に予定される今回の検討会の報告書を待って、府令や省令、さらに食品衛生法の改正も視野に入れて、2018年にもHACCPの制度改革に取り組む予定だ。(厚生労働省医薬・生活衛生局関係者談)

寄稿:フリージャーナリスト/継田治生