3月15日に「第3回 機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」が開催された。

 今回の検討会は各業界団体からのヒアリングが行われ、日本チェーンドラッグストア協会、日本OTC医薬品協会、日本通信販売協会(JADMA)、健康食品産業協議会の4団体が、ビタミン・ミネラルなどの栄養成分と関与成分が明確でない成分の取り扱いに関して、それぞれの見解を述べた。

 この中で国際栄養食品協会(AIFN)の天ケ瀬晴信理事長はアメリカのサプリメント市場の現状を説明した中で、特異的な疾患を有する、もしくは病気の危険性が高いとされるアメリカ在住55歳以上の成人を対象とした、10種類のサプリメントの投与による4種類の疾患状態を調査した結果を発表した。これは2014年に公表されたものだが、実に、7年間の累積で約5兆円を超える削減額になっており、予防的に摂取を続けるという前提はあるものの、サプリメントによって医療費が削減される可能性は非常に大きく、さらに、日本でも、12年度の診療報酬改定で、ビタミン薬を単なる栄養補給目的での処方は保険外とするように改め、医療費ベースで約160億円を削減したという報道もあり(2013/12/24日本経済新聞電子版)、こういった医療費抑制の可能性は大いにあると考えるとの見解を示した。

 しかし、一方で、このヒアリングに対して、アカデミアや消費者団体代表の委員からは個別の栄養素でのネガティブなデータもあり、トータルな見解としては慎重な見解が求められるといった意見も出された。

 日本OTC医薬品協会は、ビタミン・ミネラルなどに関して、まずは生鮮食品から栄養成分の機能性表示を可能としてはと提言した。これは、食事を基本とする栄養政策にも合致し、過剰摂取のリスクが低く、消費者の混乱を防げられることを根拠としており、今後、消費者の健康に対する自己管理意識の改善と機能性表示食品届出内容判断能力の一般化に伴って範囲を拡大するべきとの見解を示した。さらに、関与成分が明確でない成分に関しては、中小企業にも運用可能な実績のある手法として食品GMPの導入を提言した。

 この意見に関しては、分析専門の委員から、食品GMPは現時点では安全性の担保に重点が置かれており、品質保証の概念を織り込んだものでないと厳しいといった意見が出された。

 続いて、日本通信販売協会(JADMA)は、安全性について確認ができている成分でしかも定量ができる成分という条件で、腸内の環境を整えるなどの機能性をもつオリゴ糖などを機能性表示食品制度の対象に加えるべきとした一方、関与成分が明確でない成分に関しては、機能性のエビデンスがあること、安全性の確認ができていること、作用機序が解明されていること、そして、原材料の成分組成が確認できていることの4つを必要事項としたて、基原原料を加工して原材料化するところまでで抑える方法を提示した。また、その条件としては、原料の段階と最終製品の段階での指標成分の分析を行い、分析結果の届出と定期的な分析を義務付けたうえで、原材料GMPと指標成分を組みあわせての運用を提案した。

 最後のヒアリングを行った健康食品産業協議会は3人のそれぞれの専門家が発表。ビタミンDとビタミンEについて、それぞれの有効性と安全性を解説した後、横浜薬科大学薬学部漢方薬学科の榊原巌教授は、関与成分の明確でない成分について、漢方製剤GMP基準の事例を出し、指標成分として一処方につき少なくとも2種類の成分を設定すること、また、標準湯液を設定しエキス剤中の指標成分の含量が、標準湯液中のそれらの70%以上の含量を保証することとした手法を説明した。さらに補完代替医療が注目されている米国FDAならびに欧州EMEAでは、植物製剤の品質保証にはGAP(栽培指針)ならびにQC(Quality Control)として、最終製品と原料生薬のフィンガープリントが必要だと提唱しているとして、葛根湯のフィンガープリントを説明、さらに近赤外分光法による品質管理への応用を具体例の一つとして説明した。

 検討会は4月から、主題のビタミン・ミネラルなどの栄養成分と関与成分が明確でない成分に分けて各論の議論に入り、秋には取りまとめが行われる予定となっている。

寄稿:フリージャーナリスト/継田治生