「今」に集中することで悩みスパイラルから脱出

 「人は常に何かを考え、悩んでしまう生き物」だと話すのは、関西学院大学教授の有光興記さん。そこで有効なのが、「瞑想」だと言う。「いったんネガティブな気持ちが出てくると、過去の失敗を思い出したり、未来が漠然と不安になったり…。『心、ここにあらず』の状態になりがち。瞑想で今の感覚に意識を向け、負の考えの連鎖を断ち切ることが大切です」。たとえ忙しくても、通勤中や、食事中など、瞑想はいつでもできるそう。「毎日続ければ、すぐに効果を実感できますよ」。

B612 / PIXTA(ピクスタ)
B612 / PIXTA(ピクスタ)

体がダルい…am7:00

こんな気持ちを捨てるには【寝たまま瞑想】

自分の体の感覚に集中し、不快な感覚を悩みにつなげない
起きた瞬間、体のだるさや痛みを感じて気持ちが落ちるときは、寝たまま自分の体の感覚だけに集中を。心拍、手のしびれ、痛み…。何を感じても、体は動かさず放置して。不快な感覚をネガティブな気持ちにつなげない。

やり方

(1) 布団の上であおむけになる
掛け布団を取り、ベッドの上であおむけに。手足を軽く広げ、楽な姿勢を取る。二度寝しそうな人は、椅子に座ってもOK。

(2) 自分の体に意識を向ける
体を動かさずじっとして、呼吸や心拍、各部位の疲れや痛みなど、自分の体のあらゆる感覚に気づきを向ける。

(3) 気づきを心のなかでつぶやく
「痛み」「かゆみ」「しびれ」など、気づいたことを心のなかで実況中継する。ただ感じるだけで、体は反応させない。

POINT
瞑想中の雑念はこうして対処!
瞑想中、「お腹がすいた」などと雑念が出てきたら、「これは雑念」と心のなかで唱え、もう一度瞑想に集中を。「何かを考えだすと、無意識にネガティブな気持ちに陥りがち。雑念から考えを深めず、意識を『今』に戻すことが大切です」。

会社に行きたくない…am8:00

こんな気持ちを捨てるには【歩いて瞑想】

「歩く行為」に集中することで、考え事から解放される
通勤中、歩いて瞑想することも可能。「出社前にあれこれと仕事のことを思い浮かべ、不安になりがちな人におすすめ」。人通りの少ない道を選び、足の裏で地面を踏み締める感覚に集中しよう。

やり方

(1) かかとから着地し、足の裏全体を使って歩く
歩くときはかかとから着地し、足の裏全体が地面に着いたり、離れたりする感覚に集中する。ペタンコ靴など、ヒールの低い靴を選ぶと、地面を感じやすい。

(2) 1呼吸で3歩進む程度の速さを意識
歩く速さは、1呼吸で3歩進む程度のゆっくりペースで。駅など人通りが多く、周囲に配慮が必要な場所は避ける。

(3) 目に入ってきた景色を実況する
「蝉の声」「木漏れ日」「きれいな花」など、目に入るモノを心のなかで実況するのも◎。通勤が楽しくなるはず。

この人に聞きました
有光興記さん
関西学院大学文学部総合心理科学科教授
博士(心理学)、臨床心理士。専門は臨床心理学、社会心理学。ストレスや抑うつ、不安に悩む子供・成人を対象に、ソーシャルスキルトレーニング、認知行動療法、マインドフルネス瞑想を実践。『図解 マインドフルネス瞑想がよくわかる本』(講談社)を監修。

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