「お金を1円も使わない日をつくり、その分を貯蓄に回す」という方法は、シンプルながら、うまく続けるにはコツも必要。家計見直しのプロ・市居愛さんにヒントをもらいました。

 「常に合理的で正しい判断ができればいいのですが、頭で分かってはいても感情に流されて、ついムダ遣いしてしまうのが人間です」と市居さん。

 既存の経済学では説明できない、人間の不合理な行動の法則性を研究する「行動経済学」という学問がある。モノの絶対的な価値より割引率が損得の判断に大きな影響を与える「アンカリング効果」などはその典型だ。

 売り手はこうした消費者の心理を踏まえ、巧みに販売戦略を仕掛ける。「つまり、街なかもネット上もムダ遣いをしたくなるワナだらけ。何も対策しないと、感情に流されるまま、お金を失うのが人間のサガです」。

 それを防ぐには、「必要なものだけを買い、それ以外は貯蓄に回す仕組みをつくることが大事。仕組みは先取り貯蓄でも500円玉貯金でもなんでもいいですが、NMD(ノーマネーデー)貯金も賢い選択です」。市居さんいわく、仕組みは「シンプルかつゲーム感覚で楽しめるものがうまくいく」そう。NMD(ノーマネーデー)貯金はまさに合致する。

 「私自身はNMD(ノーマネーデー)を週2回以上つくっています。お金を使わないと決めた日は、手帳のスケジュール欄に星マークを付けておき、無事達成できたら、マークを塗りつぶします。買い物の欲求より、NMD(ノーマネーデー)という“ミッション”をクリアしたい気持ちが勝って、浪費を抑えられています」。

 NMD(ノーマネーデー)を習慣化するには、できるだけ低いハードルから始めるのがコツ。「お金を使わない日がゼロという人なら、まずは週1回から始めて。成功体験を積んで、徐々にステップアップしていくとうまくいきやすい」。また、財布や手帳の使い方を一工夫したり、SNSでNMD(ノーマネーデー)の記録や発信をすると、より効果的に続けやすくなる。詳しいやり方は本誌を参考に!

tomcat / PIXTA
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私たちは、ついついムダ遣いしてしまう不合理な生き物です。

POINT ⇒

ムダ遣いを防ぎ、お金を貯めるには「仕組み」が必要。その仕組みのひとつが、NMD(ノーマネーデー)貯金です!

NMD貯金のメリット

1. シンプルなルールだから簡単!
2. ゲーム感覚で楽しくチャレンジできる!

数ある貯蓄法のなかでもNMD(ノーマネーデー)貯金は実にシンプル。「NMD(ノーマネーデー)と決めた日は、なんとか工夫して1日を乗り切る。その試行錯誤をゲームのノリで楽しめるようになると、NMD(ノーマネーデー)が徐々に増え、それにつれて貯蓄もどんどん増えるはず」。

POINT ⇒

NMD(ノーマネーデー)という“仕組み”を“習慣化”するには、コツがあります。

NMD貯金の習慣化のコツ

1. ハードルは“低め”から始める
2. 「お金が出ていかなくなる」よう財布を整える
3. 手帳を使い「未来の支出をコントロールする」
4. 理性だけに頼らず、「人の目」の力を借りる

「人間はいいことをすると、その後は少しくらい悪いことをしてもいい、という心理が働きがち」。だから、まずは週1回だけNMD(ノーマネーデー)にするなど、低いハードルから始めるほうが挫折しにくい。自分の意志を過信せず、人の目の力を借りるのも有効な方法。例えば、インスタグラムにNMD(ノーマネーデー)の記録を投稿するのも、習慣化の助けになる。

この人に聞きました
市居 愛さん
家計整理アドバイザー
マザーミー代表。自身の病気と夫の会社倒産で、夫婦同時に無職となる恐怖を体験。それを機に家計を立て直した経験とノウハウを、広く伝える活動をしている。著書に『お金を整える』(サンマーク出版)など。

取材・文/元山夏香

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