気温や湿度が低くなる冬は、体に備わった“老廃物を外に出す力”が鈍る。最大の排出器官の腸が詰まれば「便秘」になり、老廃物を回収する静脈やリンパの流れが弱くなれば「冷え」、肌が「乾燥」して角質がたまる。「体の大そうじ」で冬の不調を解消しよう。

 12月の行事といえば、「すす払い」。毎日“おそうじ”していても、「汚れ」である“老廃物”がたまるのは、私たちの体も同じ。しかも冬は、体内に“老廃物”がたまりやすいことがわかってきた。若々しさや美肌をキープするには、“全身大そうじ”が必要だ。

調査概要:2015年11月2日から15日までの14日間、『日経ヘルス』『日経ウーマンオンライン』の読者を対象にウェブで調査。回答した174人について集計。平均年齢は40.5歳。
調査概要:2015年11月2日から15日までの14日間、『日経ヘルス』『日経ウーマンオンライン』の読者を対象にウェブで調査。回答した174人について集計。平均年齢は40.5歳。

 「気温が下がる冬は、体の熱を逃がさないよう血管を収縮させるために、交感神経の働きが高まる。その結果、腸を動かす副交感神経の働きが鈍る。腸の動きが悪くなり、便秘したり、悪玉菌が繁殖したりしやすくなる」。そう話すのは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授。久里浜医療センターの水上健・内視鏡健診センター長も、「腸の動きは天候の影響も受ける。特に冬で急に寒くなるなど、天候が急激に悪くなると、便秘しやすい」と話す。

 もちろん、血管が収縮すると、血流が悪くなってよどむた、手足が冷えやすくなる。細胞に酸素や栄養が十分に届かないために、肌荒れもしやすくなるという。実際、花王の最新研究でも、「血流を調整する働きが悪い人ほど、肌荒れしやすいことがわかった」(花王スキンケア研究所の次田哲也上席主任研究員)。

 肌自体の力も弱まる。ウォブクリニック中目黒の髙瀬聡子総院長は、「冬は、気温低下と乾燥で、肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、古い角質やメラニンがたまりやすい。特に、40代以降は、それらを排出する力が弱くなる。古い角質やメラニンを取り去るケアをしないと、ガサガサと乾燥してくすんだ肌になる」という。

 さあ、冬の「体の大そうじ」をはじめよう。

この人たちに聞きました
小林弘幸教授
順天堂大学医学部附属
順天堂医院総合診療科

順天堂医院に日本初の便秘外来を開設。自律神経の働きを高めるメソッドや腸脳相関にも着目し、研究を行う。著書に『全身の細胞が目覚めるセル・エクササイズ』(ポプラ社)ほか。

水上 健部長
久里浜医療センター
内視鏡健診センター

専門は大腸内視鏡検査、過敏性腸症候群・便秘の画像診断と治療。『女はつまる、男はくだる おなかの調子は3分でよくなる! 』など。

髙瀬聡子総院長
ウォブクリニック中目黒(東京都目黒区)
慈恵会医科大学卒。2007年にウォブクリニック中目黒を開院。美白、エイジング対策の化粧品開発も手がける。近著に『いちばんわかるスキンケアの教科書』(講談社)。

次田哲也
上席主任研究員
花王スキンケア研究所

スキンケアおよびファンデーション分野での研究歴は20年を超える。臨床効果実験と評価に精通。東京農工大学の非常勤講師も務める。

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