寝起きがだるい、いびきをかくようになった―。そんな人は、寝ている間に口呼吸をしているのかも!?ぐっすり眠れて若返る、驚きの方法をご紹介します。

 睡眠時間はしっかりとっているのに、寝起きがすっきりしない……。そんな人は、寝ている間の口呼吸が原因かもしれない。「口呼吸は、いびきや眠っている間に呼吸が止まる“無呼吸”にもつながり、睡眠の質を低下させる原因のひとつと考えられる」と語るのは、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構でヒトの睡眠研究にかかわる佐藤誠教授だ。

 あおむけで口呼吸をすると、舌がのどの奥に落ち込み気道が狭くなる。加齢などで口まわりの筋力が低下すると、口が開くためさらに気道が圧迫され、無呼吸になることも。「無呼吸のたびに目覚めてしまい、深い眠りが得られない」と佐藤教授。「口呼吸は、人間が進化の過程で高度な言語能力とともに身につけたものにすぎず、口は呼吸のための器官ではない」という。

 鼻には、外から入ってくる細菌やウイルスなどを除去したり、呼気を温めて適度な湿り気を与える機能が備わっているが、口にはこのような機能はない。そのため、「口呼吸では口やのどの粘膜が乾燥しやすく、ウイルスなどの感染リスクも高い」と、みらいクリニックの今井一彰院長は説明する。

あおむけで口呼吸すると気道が狭くなりやすい
あおむけで口呼吸すると気道が狭くなりやすい
あおむけで口を開けると、舌はのどの奥に落ち込み、口蓋垂(のどちんこ)が気道を塞ぐように垂れ下がる。眠ると舌を支える筋肉の緊張がゆるむため、さらに気道は圧迫される。この状態で呼吸して、気道が震えて音になったものがいびき。気道が完全に閉塞すると、無呼吸状態になる

 乾燥でのどに慢性的な炎症が生じると、全身の免疫力も低下する。「カゼをひきやすくなるだけでなく、アレルギーや歯周病、さらには筋肉や内臓などの疾患にまで影響すると考えられる。実際、口呼吸をやめることでこれらの症状が改善することもある」(今井院長)。

 今井院長によると、女性の7~8割は口呼吸だという。「口呼吸を続けていると、舌が前に突き出てあごが下がり、ほうれい線の深い“ブルドック顔”に。二重あごやエラ張りの原因にもなりやすい」と今井院長。

 そこで注目されるのが“口閉じテープ”だ。「貼って寝るだけでいびきが治まり、睡眠が深くなる」と今井院長はいう。

「口封じテープ」は、紙テープやマステがあれば今日から実践できる
「口封じテープ」は、紙テープやマステがあれば今日から実践できる
この人たちに聞きました
今井一彰院長
みらいクリニック(福岡市博多区)
日本病巣疾患研究会副理事長。「口閉じテープ」をはじめ、「あいうべ体操」「ゆびのば体操」など、薬を使わずに慢性的な症状を改善する独自の治療で成果をあげる。『口呼吸をやめて万病を治す!』(宝島社)など著書多数。

佐藤 誠教授
筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構環境生理学
医学博士。新潟大学卒業後、同大学医学部第二内科、米国ウィスコンシン州立大学、上越教育大学保健管理センター所長などを経て、世界トップレベルの睡眠研究拠点の現機構へ。専門は呼吸生理学、睡眠医学など。

取材・文/オカモトノブコ 写真/鈴木 宏 ヘア&メイク/依田陽子 スタイリング/椎野糸子 モデル/津山祐子 図版/三弓素青

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