ご飯が大好きで、糖質オフは続かない……。そんな人は、無理なく糖質オフができるキノコご飯にチェンジ。過度な糖質オフやダイエットで悪くなりがちなお通じも快調に。おいしく、体脂肪を減らしましょう!

 糖質オフのためにご飯の量を減らしたけれど、がまんしすぎてリバウンドしたり、減らしすぎて便秘に――。そんな人に試してもらいたいのが「キノコご飯」。1膳の糖質量を約3割減らせるのに満足感が高く、1日の目標である糖質量150~180gも、白米をキノコご飯に替えればクリアしやすい。

 キノコご飯は、かさを増して糖質を減らすだけではない。キノコの食物繊維や、マイタケに含まれるマイタケαグルカンなどの成分には、糖の吸収を阻害したり、血糖値の上昇を抑えたり下げたりして脂肪を蓄積しにくくする効果がある。

 また、「キノコに含まれる多糖類のキノコキトサンは、体内の余分な脂肪をからめ取り、便とともに排出する働きがある。また、食事でとった余分な脂肪の周りに薄い膜を張り、腸内で吸収されるのを防ぐ」と東京農業大学の江口文陽教授。

 キノコの健康効果を得るには50~100gのキノコを毎日食べ続けるのが大事。ご飯100gにキノコ50gの割合がお薦めだ。

 「キノコは1種類でもいいが、キノコの良い成分は種類によって異なる。複数の種類を組み合わせると相乗効果が期待できる」と江口教授は話す。

体脂肪を減らす「キノコご飯ダイエット」のルール

ルール1・朝+昼or夜の白米をキノコご飯にチェンジ
いつもの白米をキノコご飯に替えるだけで、糖質3割カット。食物繊維も増量!

ルール2・1膳に生のキノコ50gを目安に入れる
「キノコの健康効果を期待するなら1日生で50~100gが目安」(江口教授)。ご飯:キノコの割合は2:1がベスト。1膳にキノコ50g、キノコご飯2杯でクリアできる。

ルール3・キノコを冷凍すると効果が高まる
冷凍すると水分が膨張して細胞壁が壊れ、食べたときにキノコの有効成分を吸収しやすくなる。解凍すると有効成分が流出してしまう。凍ったまま調理を。

キノコご飯ダイエットにお薦めのキノコ

(1) 体についた脂肪の燃焼を促す シメジ
脂肪の燃焼を促し、肝臓の働きを助けるオルニチンをシジミの5~7倍含む。糖尿病の人が食べて血糖値上昇が抑えられたという研究も。

(2) 血糖値を下げる成分を含む マイタケ
マイタケαグルカンに血糖値を下げる働きがある。朝食にマイタケを食べて、昼食以降の血糖値が抑えられたという研究がある。

(3) キノコキトサンの含有量トップクラス エノキタケ
キノコキトサンの含有量はキノコの中でもトップクラス。食事に含まれる脂質を体外に排出し、ダイエットに効果を発揮する。

(4) 内臓脂肪を減らすデータあり! エリンギ
歯応えがあり、切り方により食感の違いが楽しめる。食事と一緒にとって内臓脂肪の面積が減ったという研 究報告がある。

食物繊維、発酵食品をオン 炊き込みキノコご飯

 キノコご飯で糖質・脂質を上手にマネジメントして、リバウンドせずにダイエット効果を得るには、1日2膳置き替えて、毎日続けることが大切だ。「まずは1カ月続けよう。キノコと食物繊維の多い食品や発酵食品と一緒にとると腸の働きがより活発になり、腸内環境を整えるのに役立つ」と江口教授。

 そこで、飽きずに続けられる3種のアレンジをご紹介。糖質も2~3割減らせる。レシピを考案してくれた料理研究家の金丸絵里加さんは、「食物繊維をプラスするなら、切り干し大根などの乾物を使ったり、ゴボウもお薦め」とアドバイスをする。

 調理の際に気をつけたいのは、キノコは水洗いをしないこと。「キノコは水溶性の食物繊維やビタミンを含むので洗うと有効成分が減る」と江口教授。

 キノコがたくさん食べられないという人は、干したキノコをミルサーなどで粉末にしてふりかけのようにするのもお薦め。「キノコのうまみ成分で風味が増すほか、粉砕すると栄養成分の吸収も良くなる」(江口教授)。

塩昆布とショウガの炊き込みキノコご飯

キノコと昆布のうまみ成分を組み合わせて、奥深い味わいに。ショウガの爽やかな風味がアクセント。冷えが気になる季節にもぴったり。

1膳分:194kcal
食物繊維:2.7g
糖質:39.7g

材料(4膳分)
米 ……………………… 1合
キノコ(エノキタケ、マイタケ、シメジ) …………計180g
塩昆布 …………… 大さじ2
ショウガ ………1かけ(10g)
ニンジン ……………… 30g
酒 ………………… 大さじ1

作り方
1. 炊飯器に洗って水気を切った米、酒を入れ、水を1合の目盛りまで注ぐ。
2. エノキタケは長さを半分に切ってほぐし、マイタケとシメジは小房にほぐす。ショウガとニンジンは千切りにする。塩昆布と混ぜて1の上にのせて炊く。
3. 炊き上がったら全体をさっくりと混ぜる。

エネルギー消費をUPし脂肪の蓄積を抑える ショウガ
加熱することで増える辛み成分のショウガオールには、体のエネルギー代謝を高めて体を温める効果がある。


水溶性食物繊維で糖の吸収を遅らせる 塩昆布
ねばねばのもとになるフコイダン、アルギン酸など腸内の善玉菌を元気にする水溶性食物繊維のほか、不溶性食物繊維も豊富。

切り干し大根とキムチの炊き込みキノコご飯

不溶性・水溶性食物繊維と乳酸菌がバランスよくとれる一品。切り干し大根の歯応えと、大根とキムチの異なる食感を楽しんで。

1膳分:218kcal
食物繊維:3.8g
糖質:42.9g

材料(4膳分)
米 ……………………… 1合
キノコ(マイタケ、シメジ、エリンギ) ……………計180g
切り干し大根 ………… 10g
キムチ ………………… 60g
醤油・酒 ……… 各小さじ2
みりん ………… 小さじ1/2

作り方
1. 炊飯器に、洗って水気を切った米、2~3cm長さに切った切り干し大根を入れ、水を1合の目盛りまで注いで20~30分置く。
2. マイタケとシメジは小房にほぐし、エリンギは縦横半分に切ってから薄切りにする。キムチは粗く刻む。
3. 1に醤油と酒、みりんを入れて軽く混ぜ、キムチを全体に広げて、上にキノコをのせて炊く。

乾物の中でも食物繊維はダントツ 切り干し大根
乾物の中でも食物繊維量はトップ。大根に含まれるカルシウムや鉄分、ビタミンB1やB2などの栄養素が凝縮。


乳酸菌たっぷり快腸につながる キムチ
植物性乳酸菌が腸の悪玉菌の繁殖を抑えて善玉菌を増やし、腸内バランスを整える。


この人たちに聞きました
江口文陽教授
東京農業大学地域環境科学部
専門は林産化学、きのこ学、木材劣化生物学ほか。日本きのこ学会前会長。「炊飯器で長時間保温するとキノコキトサンが変性する可能性があるので、余ったら早めに冷蔵・冷凍保存するといい」。

金丸絵里加さん
料理研究家、管理栄養士
食を通じて健康になることをモットーに、ヘルシーな家ご飯のレシピを提案。企業や施設などにレシピ提供・栄養指導も行う。近著は『糖質オフで大満足! やせるスープ』(エイ出版社)ほか。

取材・文/渡辺満樹子 写真/今清水隆宏 レシピ作成・料理/金丸絵里加 スタイリング/石川美加子 栄養計算/内山由香(食のスタジオ) 構成/羽田 光(編集部)

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