爽やかな酸味と香りが特徴のレモン。ビタミンCが多く美肌づくりに役立つと有名ですが、老化予防など、ほかの健康効果がわかってきました。積極的に取り入れ、美容と健康に役立てましょう。

 レモンといえば、ビタミンC。1個(100g、全果)に約100mg含まれる。これは成人の1日の推奨量※に相当する。ビタミンCは美肌ビタミンとして有名だが、抗酸化作用により活性酸素を消去し、細胞を若々しく保つ働きもある。

 また、半年間の追跡調査では、「レモンを1日約1個(0.7個)以上とっている人は、0.3個未満の人に比べて収縮期血圧が低下していた(サッポロホールディングスの平光正典さん)。また、食欲に関連するホルモンのレプチンは体脂肪が多い人は血中濃度が高いが、レモンを約1個(0.7個)以上とっている人はレプチンの濃度が低い傾向にあったという。つまり、レモンの摂取が、肥満の予防につながる可能性がある。

 さらに最近の研究では、レモンの皮に含まれるポリフェノールが注目されている。「白い皮の部分に多いエリオシトリンやヘスペリジンにも抗酸化作用がある。動物実験ではこれらを長期間摂取させると行動量や外見の衰えなど、複数の指標から見る老化の進行度が遅くなることがわかった」(平光さん)。

 このほか、レモン果汁には酸味成分で、疲労回復効果やカルシウムなどミネラルの吸収を上げるクエン酸が含まれる。皮には抗酸化作用の強いビタミンEや香り成分のリモネンが含まれ、多彩な健康効果が期待できる。

※日本人の食事摂取基準(2015年版)より

レモンの3大活用術

(1)飲む……美肌に、カルシウム吸収もアップ
(2)調味料として使う……酸味を生かせば減塩効果大!
(3)皮ごと料理に……アンチエイジング、冷えにも

レモンは果汁を利用するのが一般的だが、黄色い果皮、白い果皮のポリフェノールにはアンチエイジング効果が期待できるため、丸ごと食べるのがお薦めだ。

レモンを皮ごと料理に使う

 レモン果汁にはビタミンCが豊富だが、「抗酸化作用はビタミンCを単独でとるより、ビタミンEを合わせるとより強くなる。レモンの皮にはビタミンEが含まれている」と、県立広島大学保健福祉学部の飯田忠行教授。レモン1個分(皮を含む全果実)に、ビタミンEが豊富といわれるアボカド1/2個分とほぼ同量のビタミンEが含まれる。ビタミンEには血流を良くして冷えを防ぐ働きもある。

 さらにレモンの皮にはアンチエイジング効果が期待できるポリフェノールのエリオシトリンや、血流アップ効果のあるポリフェノール、ヘスペリジンが含まれるため、できれば皮ごと食べたい。

 普段の食事で皮ごと食べるときに向くのは、マリネや炒め物。

 「酢の酢酸はツンとする酸味だが、レモンのクエン酸は軽やか。合わせると和らぐので、酢が苦手な人でも食べやすい」(平光さん)。また、「クエン酸はカルシウムの吸収を助けるので、カルシウムが豊富な大豆製品、小魚、青菜などを合わせるのもよい」(飯田教授)。レモンを加えれば、納豆の臭みも和らぐ。

 ビタミンCがコラーゲンの合成をサポートするので、コラーゲンを含む手羽先や魚に合わせるのもいい。魚を合わせる場合は、コラーゲンが多い皮を捨てずに食べよう。

 ビタミンEをさらに強化するなら、ビタミンEが豊富な植物油やカボチャ、パプリカ、ナッツ類、サケなどと合わせるのもお薦めだ。

 これからの季節なら、鍋ものにレモンを丸ごと入れるのも、爽やかでおいしい。「ビタミンCを壊さず、皮の苦みを出さないために、加熱しすぎないことがポイント。ビタミンCやポリフェノールは水溶性なので、煮汁ごと食べるとムダなくとれる」(飯田教授)。

【抗酸化成分ビタミンEがとれる】カボチャのサラダ

材料(2人分)
カボチャ……200g
レモン(輪切り)……3枚
マヨネーズ……大さじ3
赤インゲン豆(水煮)……55g
タマネギ(みじん切り)……大さじ1

作り方
1. カボチャは食べやすく切り、電子レンジ(600W)で約3分間加熱する。
2. 1とその他の材料を混ぜ合わせる。

【臭みがとれ、カルシウム吸収も促進】豆腐のレモン納豆がけ

材料(2人分)
レモン(輪切り)……2枚
納豆……1パック
ちりめんじゃこ……ひとつまみ
絹ごし豆腐…1丁
オリーブオイル、塩…各適量

作り方
1. レモンを1 枚はいちょう切りに、もう1枚は半分に切る。
2. 納豆、いちょう切りのレモン、ちりめんじゃこを混ぜ合わせる。
3. 器に半分に切ったレモンを敷き、絹ごし豆腐を盛り、2をのせてオリーブオイル、塩をかける。

この人たちに聞きました
平光正典さん
サッポロホールディングスグループR&D本部価値創造フロンティア研究所主任研究員
博士(医学)。名古屋大学卒業後、1992年入社。大学などと提携しながら、レモンの機能性に関する研究を行う。「レモンは腸内細菌に影響を及ぼす可能性もある。今後の研究で明らかにしたい」。
飯田忠行教授
県立広島大学保健福祉学部
博士(医学)。県立広島女子大学大学院生活科学研究科修士課程修了。藤田保健衛生大学医学部講師などを経て現職。レモン健康科学プロジェクト研究センター長を兼任。専門は応用健康科学、公衆衛生学、疫学、老年医学。広島県戦略作物であるレモンの効果検証も行っている。

取材・文/村山真由美 写真/鈴木正美 レシピ作成・料理・スタイリング/タカハシユキ 栄養計算/内山由香(食のスタジオ)

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