体のゆがみをとりながら、体幹を鍛えられるのが、早稲田大学の広瀬統一教授考案の「体幹ストレッチ」。美ボディに近づくだけでなく、腰痛や肩こりも解消!

 「正しい姿勢も美しいスタイルも、体幹が肝。体幹の筋力が適度にあり、バランスよく使えることが大切」と早稲田大学スポーツ科学学術院の広瀬統一教授は語る。女性は、体幹の筋力が弱いため、意識して鍛える必要があるが、体がゆがんだ状態のままトレーニングすると、一部の筋肉を使いすぎて、かえって姿勢もスタイルも悪くしてしまうという。

 そこで、広瀬教授が考案したのが「まず体のゆがみのネックである部位をストレッチし、その後に、体幹トレーニング効果も併せ持つ動的なストレッチを行うこと」。女性に多い2つのタイプ別に行うと、「姿勢」や「スタイル」が良くなるだけでなく、腰痛や肩こりといった「不調」も解消するという。一石三鳥のストレッチだ。

 「骨盤ゆがみ」と「肩甲骨ゆがみ」という2つのタイプ別に行う。自分のタイプを確認しよう。メソッドは慣れれば3分でできる。朝晩が理想だが、朝だけでもいい。

自分のタイプはどっち?

壁の前に立ち、腰と肩を確認
壁にかかとをつけ、足は腰幅に開く。チェックするのは、腰と肩。壁と腰の間のすき間に手のひらが1枚より広く入る人は「骨盤ゆがみタイプ」。壁に肩がつかない人は「肩甲骨ゆがみタイプ」。両方を併せ持つ人もいる。

骨盤ゆがみタイプ

腰の筋肉が硬く、腹筋が弱くてお腹ぽっこり
反り腰のため、腰に負担がかかり、腰痛になりやすい。腰に力を入れるため腹筋を使わずお腹ぽっこり。太ももの前側でバランスをとるため、太ももが張っている。

⇒骨盤の位置を整える体幹ストレッチを
「上体倒しストレッチ」で、前側に傾いた骨盤のゆがみをとり、位置を調整。「手あてへそ見ストレッチ」で腹筋を、「ヒップリフトストレッチ」で太もも裏とお尻の筋肉を鍛え、美姿勢に!

まず、硬くなって骨盤を前傾させている「腸腰筋」を伸ばしてストレッチさせよう。動的ストレッチでお腹やお尻、背中の筋肉は鍛える。

肩甲骨ゆがみタイプ

肩甲骨の間が硬く、猫背になる
肩甲骨周辺の筋肉は伸びて動きが悪く、胸の筋肉は縮んでいるため、猫背姿勢に。肩こりになりやすい。お腹もぽっこり。

⇒肩甲骨の位置を整える体幹ストレッチを
「肩まわしストレッチ」で縮んでいる胸まわりの筋肉を伸ばして肩甲骨の位置を調整しよう。「肩甲骨腕立てストレッチ」でゆがみをとりながら鍛える。「片脚飛行機ストレッチ」では、体幹力を上げる。

小胸筋、大胸筋、小円筋を伸ばしストレッチさせると肩甲骨の位置が正しくなる。そのあとに、お腹や太もも裏の筋肉を鍛えよう。

骨盤ゆがみタイプは 骨盤の傾きを正し、腹ペタに!

 骨盤ゆがみタイプは、いわゆる反り腰タイプ。ハイヒールを愛用していたり、「いい姿勢」を意識するあまりに反り腰になっていて、骨盤まわりの筋肉がガチガチに。腰痛に悩む人も多い。ネックは、骨盤を前傾にさせている筋肉「腸腰筋(ちょうようきん)」。まず「上体倒しストレッチ」で、ここを伸ばそう。

 長時間座り仕事をしている人は、伸ばしにくいと感じるかもしれない。ゆっくりと、丁寧に行えば、徐々に気持ちよさに変わるはずだ。これで骨盤まわりの筋肉を伸ばし、「手あてへそ見ストレッチ」で腹筋、「ヒップリフトストレッチ」で「大殿筋(だいでんきん)」「ハムストリングス」「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」を鍛えて、ゆがみのない体に導こう。

腸腰筋を伸ばして骨盤を正しい位置に戻す「上体倒しストレッチ」

腸腰筋は骨盤の前側にあり、硬く縮んでいると骨盤が前に引っ張られて前傾し、ゆがみを招く。まずは伸ばそう。

(1)右足に体重をかけ左脚の付け根を伸ばす
ひざ立ちになって手を腰にあてる。右足を前に出して体重をのせながら、左脚の付け根を伸ばす。上半身は直立させ5秒キープ。

(2)お尻を後ろに引き右太もも裏を伸ばす
お尻を後ろに引きながら上半身を前に倒す。両手で右足をつかんで右の太もも裏を伸ばす。5秒キープしたら(1)に戻る。

ここの筋肉を意識しよう

「腸腰筋」を伸ばす。「大殿筋」も、「ハムストリングス」も座り時間が長いと硬く縮む。鍛える前に伸ばしておこう。

上体だけを前に倒すとダメ
(2)で伸ばしたいのは前に出した太もも裏。腰を後ろに移動させるように意識することで太もも裏がよく伸びる。
この人に聞きました
広瀬統一教授
早稲田大学 スポーツ科学学術院
専門はアスレチックトレーニング、トレーニング科学。サッカー女子日本代表、ジェフユナイテッド市原・千葉ユースアカデミーでコーチを歴任する。著書に『大人女子の体幹ストレッチ』(学研プラス)ほか。

取材・文/茅島奈緒深 写真/鈴木 宏 スタイリング/椎野糸子 ヘア&メイク/薄葉英理(ロッセット) モデル/中井さくら イラスト/三弓素青 構成/羽田 光(編集部)

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