「もっと野菜はとりたいけれど、外食がちなので難しい」。そんな人にお薦めなのが週末だけのベジタリアン生活。夏に弱りやすい胃腸をいたわりながら、紫外線に打ち勝つ栄養素もたっぷりとれる。試せばすぐに、体が軽くなるのを実感できるはず!

週末ゆるベジタリアンが体にいい理由

1. 胃や腸の負担を抑えて体が軽くなる
2. 野菜でないととりにくい栄養がとれる
 ・ビタミンCなどの微量栄養素
 ・食物繊維/フィトケミカル
3. 野菜を多くとると生活習慣病の予防になる

 野菜を多くとると、肥満やがんなどを予防する効果が高いといった報告は数多い。都道府県別の平均寿命が男女ともに最長の長野県は、全国で唯一男女ともに野菜を推奨量の350g以上摂取している県でもある。

 だが、多くの人は野菜不足だ。2014年の国民健康・栄養調査では、成人女性の野菜摂取量は1日285gにすぎない。

 平日に野菜の摂取量を増やせないなら、週末だけ野菜中心にする「ゆるベジタリアン」生活でもいい。始めるなら、夏野菜がおいしいこの季節がうってつけ。「ビタミン、ミネラル、抗酸化成分が豊富な野菜が、紫外線によるダメージから体を守ります」とベジタリアンの食に詳しい東京衛生病院の仲本桂子さん。

 では、野菜の摂取量を増やすにはどうしたらいい? 「いつものように肉や魚などの主菜から決めるのではなく、『この野菜を使いたいからこの料理』と、発想を転換するといい」と仲本さんはアドバイスする。下記からは、野菜を中心に献立を考える達人2人に学ぼう。

この人に聞きました
仲本桂子さん
東京衛生病院 健康教育科 科長
筑波大学卒業後、米国ロマリンダ大学公衆衛生学部で修士号、女子栄養大学で栄養学の博士号を取得。ベジタリアン学会理事。日本人向けベジタリアンフードガイドを作成。

HATAKE AOYAMA神保佳永シェフに教わる
週末は野菜でごちそうレシピ

神保佳永シェフ
東京・青山のイタリアン「HATAKE AOYAMA」オーナーシェフ。1977年生まれ。フランス、イタリアで修業後、ホテルレストランの総料理長などを務め、2010年に開業。リクエストによりベジタリアンの人向けのメニューに対応

 東京・青山にある、HATAKEAOYAMA。店名に“HATAKE”とあるとおり、こだわりの畑から仕入れた野菜料理が看板のレストランで、健康志向の女性たちに大人気だ。

 オーナーシェフの神保佳永さん自身も、日ごろから野菜をたっぷり食べる。「肉や魚は味見程度。体が軽いですよ」という。そんな神保さんだが、実はもともと野菜嫌いだったのだそう。

 「野菜料理の醍醐味は、食材の良し悪しだけでなく、切り方や火加減、加熱時間など、調理の仕方によって、同じ野菜でも甘みやうまみがまったく違ってくること」。いまでは子どもたちを野菜好きにするための食育にも力を入れる。神保さんが行き着いた、野菜のおいしさを引き出すコツを教えてもらった。

神保シェフに教わる
野菜でごちそう!のコツ
・イモや根菜をゆでるなら皮ごと水から入れて低温加熱
・フライパン調理は中火か弱火でいじらずじっくり
・野菜は新鮮なうちに調理してから保存する


野菜だけで作る
週末のごちそう! サラダ

丁寧に火を通した焼き野菜のサラダは、甘み、うまみがアップ。「いつもの野菜がこんなにおいしいなんて!」と驚くはず!

ニンジンもジャガイモも甘い
焼き野菜のサラダ
・1人分242kcal、食物繊維7.1g

【材料(2人分)】
ニンジン……2本
ジャガイモ……2個
オクラ……6本
クミンシード……小さじ1/2
バター……大さじ1
塩……小さじ1/2
黒コショウ……適量
オリーブオイル……小さじ1

【作り方】
1. ジャガイモ、ニンジンを洗い、皮つきのまま水を張った鍋に入れて火にかける。沸騰させないように火加減して30~40分ゆでる。少し冷めたら一口大の乱切りにする。
2. オクラはがくをきれいにして丸ごと塩ゆでにする。
3. フライパンにバターとクミンシードを入れ、中火で加熱する。バターの泡が消え澄んだ状態になったら、1を入れて塩小さじ1/4を振り、そのまま動かさずに香ばしさが出るまで弱火で5分ほど加熱する。
4. フライパンの中身を一度動かしてさらに数分加熱し、2のオクラを入れたら塩小さじ1/4を振って味を調える。
5. 器に盛り、黒コショウとオリーブオイルを振りかける。

料理上手な禅寺の奥さんに教わる
お寺の台所の簡単常備菜

松原真紗子さん
1945年、北鎌倉臨済宗円覚寺塔頭雲頂庵(りんざいしゅうえんがくじたっちゅううんちょうあん)に生まれ、1969年、東京・三田の臨済宗妙心寺派龍源寺の松原哲明氏に嫁ぐ。年中行事の料理のほか、40年以上軽井沢の座禅堂で座禅参加者の料理も作り続けている

 最寄りの地下鉄の駅から歩いて5分。駅前の喧噪(けんそう)を離れ、幹線道路を1本入ったところに、緑豊かな禅寺、龍源寺はある。

 この龍源寺で家族の毎日の食事と、寺の行事の際の料理を一手に引き受けているのが、前住職の奥さんである、松原真紗子さん。鎌倉時代に建立された臨済宗円覚寺派の寺で生を受け、その後も同じ宗派の龍源寺に嫁いだという、生粋のお寺の奥さんだ。

 大きな行事の際には、200人分以上の料理を作ることもある。料理を専門的に学んだことはない松原さんだが、「実家や嫁ぎ先の母、檀家さんたちから教わりながら、自然にお寺の厨房の知恵が身につきました」。

 そんな松原さんの料理の一番の特徴は、簡単で早くできて、薄味だから素材の持ち味が生きておいしいことだ。本誌で紹介するゴーヤーのレシピは、松原さんが義父である故・松原泰道さんのために考えたもの。元住職は101歳で他界するまで、お膳にのったものは全部食べたという。

 「義父は食事が薬だと考えていました。食べる人のことを考えながら料理をすれば、おのずと健康的な食事になりますね」と松原さんはいう。


いつもの食材で
週野菜づくしの週末リセット膳

お寺の食卓をまねて、野菜づくしの週末を過ごしてみては? スーパーで手に入るいつもの野菜なのに、滋味深い味にほっとするはず。細く切る、薄味にする、といったコツが、野菜本来の味を引き立ててくれる。

(1) シャキシャキ感があとを引く
ジャガイモの細切り炒め
・1人分158kcal、食物繊維1.8g

【材料(2人分)】
ジャガイモ……中2個
サラダ油……大さじ1
塩……小さじ1/4

【作り方】
1. ジャガイモは皮をむき、なるべく細い千切りにする。水を張ったボウルで5回ほど水を替えながら、水が濁らなくなるまでよく洗い、水気を切る。
2. フライパンに油と1と塩を入れ、中火でジャガイモが透き通るまで炒める。

(2) カブの甘みが引き立つ
カブのけんちん汁
・1人分51kcal、食物繊維1.7g

【材料(4人分)】
カブ……中2個
干しシイタケ……中1枚

【A】
  水……100ml
  砂糖……小さじ1

サラダ油……大さじ1
水……500ml
昆布……10cm 角を1枚
昆布茶……小さじ1/4
醤油……小さじ1

【作り方】
1. 干しシイタケはAで戻し、5mm幅に切る(戻し汁は取っておく)。
2. カブは縦半分にして1cm厚さに、カブの葉は2cm長さに切る。
3. 鍋に油を入れて加熱し、12を入れて炒め、しんなりしたら戻し汁と水、昆布、昆布茶を入れて一煮立ちさせ、醤油で味を調える。

(3) 山椒の香りが食欲をそそる
ニンジンの山椒油サラダ
・1人分153kcal、食物繊維3.4g

【材料(2人分)】
ニンジン……中2本
粒山椒(乾燥、または花椒)……5~7粒
塩……小さじ1/2
サラダ油……大さじ1と1/2
ゴマ油……小さじ1

【作り方】
1. ニンジンは皮をむき、なるべく細い千切りにする。
2. ボウルに1のニンジンを入れて塩を振り、軽くもむ。
3. フライパンにサラダ油と粒山椒を入れ、煙が出るぐらいまで熱したら2にかけ、ゴマ油を振ってよく混ぜる。

取材・文/武田京子、大屋奈緒子(編集部)、写真/鈴木正美、レシピ考案・料理/神保佳永、松原真紗子
スタイリング/肱岡香子、宮澤由香、栄養計算/曽根小有里(食のスタジオ)、デザイン/ビーワークス

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