垂れてたるんだお尻やお腹をぐぐっと引き上げるには、重力に抗う全身の「抗重力筋」にアプローチするのが効果的! 整形外科医の中村格子さんが薦める「UP」と「DOWN」のエクササイズで、全身の抗重力筋を一気に鍛えて、たるみを引き上げよう。

 20代のころには何もしなくてもハリがあったのに、気づけばお腹や背中、お尻やひざ上に、たるみが! この原因を「筋肉のなかでも特に抗重力筋の影響が大きい」と指摘するのは、整形外科医の中村格子さんだ。

 抗重力筋とは、文字通り“重力”に“抗う”ことによってしゃきっと伸びた若々しい姿勢を支える筋肉。大切な筋肉なのに、ほかの筋肉よりも衰えやすいという特徴がある。また、お腹やお尻など、たるみが気になる部位には、抗重力筋があることもわかるだろう。

 では早速、あなたの抗重力筋をチェックしてみよう。上の2つのチェックは、「いずれも、前後左右から体をバランスよく支えられるか、という抗重力筋の基本のパワーを見るもの。ふらついたり、しんどいと感じる人は、体の一部分が屈曲し、抗重力筋が衰えている可能性大。これが、たるみの原因になっている」と、中村さん。

CHECK
あなたの抗重力筋はしっかり働いてる?

CHECK1
「気をつけ」の姿勢、1分キープできる?

 足は肩幅に開き、真っすぐに立つ。横から見たときに耳、肩、腰の中心、くるぶしが一直線に揃うよう意識し、腰が反らないように注意。1分間キープできればOK。疲れると感じるようなら、「抗重力筋」が衰えている。

CHECK2
「壁つけ腕上げ」で腰や肩の位置を変えずに上げられる?

 壁に、かかと、ふくらはぎ、お尻、肩甲骨、頭の5点をつける。背中が壁から離れないようにしながら腕を上に向かって上げ、バンザイする。手を上げる動きにつられて腰が反ったり背中が丸まると、抗重力筋が衰えている。

 とはいえ、抗重力筋はいくつもある。「お腹やお尻、1つずつ筋トレしないといけないの?」と思うだろう。しかし、中村さんが薦めるのが、重力を効果的に利用し、抗重力筋を一気に鍛える「抗重力エクササイズ」! 「1つずつの筋肉を筋トレするより、全身を動かすことで、一気に抗重力筋を鍛えるのがいい」と中村さん。カギは立ったまま行うこと。お尻は上がり、お腹はへこみ、ひざ上肉など太もものたるみまで一気にとれる! その秘策は下記から。

全身の引き上げに関わる
「抗重力筋」とは?

 文字通り重力に抗い、姿勢を維持するために働く筋肉のこと。背中やお腹、お尻といった体幹部のほか、太ももでは前、ひざ下ではふくらはぎの筋肉が当たる。「体を曲げる方向の屈曲筋より、伸ばす伸展筋が主です」(中村さん)。加齢で特に衰えやすく、ほかの筋肉よりも衰えるスピードが速い。

伸びて重力に抗うUPエクササイズ

お尻とお腹が引き上がる!
UP抗重力エクササイズ

 つま先立ちをして、さらに体を真上に伸ばすエクササイズ。「お腹を引っ込めながら、手とつま先で体を引っ張り合う意識で上へ上へと伸びる。ひじとひざが曲がらないよう注意して」(中村さん)。

(1) かかとをつけて立つ
左右のかかとをくっつけて立つ。お腹を引っ込め、お尻に力を入れて締める。ももの内側の筋肉を意識し、つま先立ち。背中は反らないよう注意。

(2) つま先立ちのまま、上に伸びる
両腕を上げて、真っすぐ真上に伸びる。足指の腹で地面を押すように。ひざとふくらはぎをなるべくくっつける。5~10秒キープ。5回繰り返す。

この人に聞きました
中村格子さん
Dr.KAKUKOスポーツクリニック(東京都渋谷区)
院長
整形外科医・医学博士

1966年生まれ。横浜市立大学医学部卒業。同大学整形外科学教室入局。同大学附属病院、国立スポーツ科学センター医学研究員などを経て、2014年より現職。横浜市立大学整形外科客員教授。 http://www.dr-kakuko.com/

取材・文/柳本 操、写真/鈴木 宏、スタイリング/椎野糸子
モデル/島村まみ、筋肉図/トキア企画、ヘア&メイク/依田陽子
デザイン/ビーワークス、監修/中村格子

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