足裏と脚をつなぐ「アキレス腱」。急所として知られるこの部位が、トラブルのない美しい足と脚に重要な場所だと分かってきました。外反母趾もむくみも、なんとアキレス腱が関係しています。さっそく伸ばしましょう!

 外反母趾にもむくみにもアキレス腱が関係している――。意外に思う人も多いだろう。

 「外反母趾や足底筋膜炎といった足にトラブルがある人は、アキレス腱が短縮しているとわかっている。アキレス腱が短縮していると、むくみも生じやすい。米国では、足に痛みを訴える患者に、医師が“アキレス腱伸ばし”を薦めることが多い」というのは、米国の足病外科医(ポダイアトリスト)の李家中豪(りのいえちゅうごう)さんだ。日本では外反母趾は整形外科、水虫は皮膚科と、足の病気でも診療科が分かれているが、米国では、足病外科医が足のすべての病気を診る。李家中豪さんは、そのひとりだ。

 アキレス腱は、足裏と脚をつなぐ人体最大の腱。ふくらはぎの腓腹筋とヒラメ筋を、かかとにつなぐ役割をしている。アキレス腱が短縮しているかどうかは、足先をどの程度手前に引けるか、で分かる。

 「足には、土踏まずに代表される縦のアーチと、横のアーチがあるが、「足首が硬いと、うまく足を返せず、正しい歩行動作ができないために、足のアーチをつぶすような、負担がかかる歩き方をしてしまう。その結果、足のトラブルにつながる」と李家さん。さらに、ふくらはぎの筋肉もしっかり使えないため、「血液を押し戻すポンプ機能が衰え、脚がむくみやすく、足先は冷えやすい」と李家さんは話す。

 でも、心配ご無用。「“アキレス腱伸ばし”を毎日行えば、徐々に伸びるようになる」と李家さん。

短くなると、むくみ・外反母趾・足底筋膜炎・ハンマートゥの原因に!
アキレス腱とは、ふくらはぎの表層にある腓腹筋、奥にあるヒラメ筋を、かかとの骨につなぐ腱のこと。足裏と脚をつなぐ要所といえる。正しい歩行動作にはアキレス腱の柔軟性が不可欠。「腓腹筋・ヒラメ筋が硬くなることでアキレス腱が短くなると、足や脚にトラブルが生じやすい」(李家さん)。

足裏を、足の甲(足背)側に向けて動かすことを「背屈(はいくつ)」という。脚を伸ばして座り、かかとを壁につけて背屈させてみよう。「通常、自分で背屈させるのではなく、リラックスした状態で、人に背屈してもらってチェックする。米国では、背屈の角度が10度以下なら、アキレス腱が短縮していると考える。ちなみに、ひざを曲げて背屈できる人は腓腹筋だけが硬くなっている。ひざを曲げても背屈できない人は腓腹筋もヒラメ筋も硬くなっている。どちらのケースも、解消するには、アキレス腱伸ばしを行えばいい」と李家さん。

こんな人も要注意!
自分ではわからない、という人は、下の項目をチェック。当てはまるようなら注意。「ヒールの靴のほうがラク、という人は、アキレス腱が短縮している可能性が高い」(李家さん)。

この人に聞きました
李家中豪(りのいえちゅうごう)さん
リノイエ足病外科クリニック(ロサンゼルス)院長
米国足病外科学会公認専門医
ミレニアメディカル最高臨床責任者。日本生まれで、米国カリフォルニア足病外科大学卒。糖尿病で起こる足の潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)などの病変を、切断せずに治療する技術や、米国の足の治療法を日本の医師に広めるべく、活動している。

取材・文/羽田 光(編集部)、写真/鈴木 宏、スタイリング/中野あずさ(biswa.)
モデル/高原 愛、イラスト/三弓素青

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