一発屋からの奮起、その結果は?

 裸同然の姿で演じる勢い任せのパフォーマンスは、当時から賛否両論でした。彼の面白さを理解できない人からは「どうせすぐ消える」「一発屋になる」などと批判の声が上がりました。人気に火が付いて上り詰めるまでの勢いがすさまじかったからこそ、そこから落ちていくときの反動も強烈です。そのショックで立ち直れなくなってしまった人は、のちに「一発屋」の烙印を押されてしまいます。

 しかし、小島さんはここで奮起しました。「ナマハゲ伝導士」などのさまざまな資格を取ったり、新しいギャグやネタを試したりしながら、次の道を探っていたのです。

 そして、ここで考えついたのが「子供をターゲットにする」という戦略でした。もともと、小島さんの芸風は子供たちから絶大な支持を受けていました。営業に行ったりすると、客席の中で小島さんの動きを真似る小さい子の姿を見かけることも多かったのです。どちらかと言うと子供に人気があるという現状を踏まえて、徹底して子供に合わせたネタとキャラを作っていくことにしました。

 これはかなり思い切った戦略でした。なぜなら、前例があまりなかったからです。

 子供にも大人にも人気のある芸人はたくさんいますが、ターゲットを子供に絞ってしまうと、世間で圧倒的多数を占める大人を取りこぼすことになってしまいます。子供狙いにはそういう大きなリスクがあるのです。でも、小島さんはあえてその道を選びました。

 子供向けと銘打った単独ライブを開催して、客席の子供たちの反応を確かめながらネタを練り上げていきました。また、子供をライブに連れてくるのは親の役目です。そんな親たちが自分の子を連れて行きたいと思えるように、好き嫌いせずに何でも食べようというメッセージを込めた「ごぼうのうた」「ピーマンのうた」という歌を作ったりしました。

 ここまで徹底して子供向けにシフトしていったことで、小島さんは確実に新しい世代の子供のファンを増やしていきました。