好きな深夜番組がゴールデンタイムに昇格したとき。うれしいと感じるか、残念に思うかは人それぞれです。なぜなら、「深夜番組がゴールデンに行くとつまらなくなる」という説があるから――。これは本当なのでしょうか? お笑い評論家のラリー遠田さんが解説します。

好きな深夜番組が、ゴールデンタイムに上がった! これをうれしく思いますか? (C)PIXTA

 テレビ業界では「19~22時」の時間帯は「ゴールデンタイム」と呼ばれています。家でテレビを見ている人の割合が高く、最も高い視聴率が見込めると期待されているからです。テレビ局はスポンサー企業に広告枠を売り、CMを流してもらうことで広告料を得ています。視聴率が高いゴールデンタイムでは得られる広告料の単価も高くなるため、テレビ局としてもこの時間帯の番組作りには特に力を入れるということになります。

 しかし、「深夜番組がゴールデンに昇格する」というニュースが流れると、世間では喜びの声と並んで不安や不満の声も同じくらい出てきます。「深夜番組がゴールデンに行くとつまらなくなる」という定説がまことしやかにささやかれているからです。実際、深夜枠ではそれなりに人気があったのに、ゴールデンに行ってから視聴率を稼げずに、打ち切りになってしまう番組は数多くありました。どうしてそのようなことが起こるのでしょうか。また、「深夜番組がゴールデンに行くとつまらなくなる」というのは正しいのでしょうか。

ターゲットが変わるため、番組の内容も変わってしまう

 身も蓋もない結論から言ってしまえば、深夜からゴールデンに行った番組が成功するかどうかは「番組による」ということになると思います。ゴールデンに上がって短期間で終わってしまう場合もあれば、長く続く人気番組に成長することもあります。どちらのケースもあるので、一概にすべて失敗すると言い切ることはできません。

 ただ、視聴率や人気はさておき、ゴールデンに上がると番組自体が「つまらなくなる」と思っている人がいるという事実は見逃せません。恐らく、この説を信じている人は、今までに自分が好きだった深夜番組がゴールデンに上がって、面白くなくなってがっかりしたという経験があるのでしょう。

 ゴールデンに上がると、視聴者の数が増えるだけではなく、視聴者層も大きく変わります。例えば、深夜番組は子どもや高齢者にはほとんど見られていないのですが、ゴールデンタイムの番組は子どもや高齢者にも見られています。

 深夜番組からゴールデン番組に切り替わると、ターゲットとする視聴者層が変わるため、それに合わせて番組の内容も多少は変える必要が出てくるのです。

 また、ゴールデンに上がるとその分だけ番組の予算も増えます。ゴールデンタイムに横並びの他の局の番組との視聴率競争に勝つためには、ある程度の豪華さを出すことも必要です。そのため、ゲストが加わったり、MCやレギュラー陣が入れ替わったり、セットが豪華になったりする、ということもあるのです。

 元の番組が好きだった人にとっては、ゴールデンに上がって新しく付け加わる要素が、余分なもののように感じられることが多いのでしょう。これがゴールデンに上がってつまらなくなるといわれるときの典型的なパターンです。