こんにちは。Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰/CONECTA代表、池田千恵です。「ひとり力の作り方」で提唱する「ひとり力」とは、「自分の頭と心を定期的に棚卸し、客観的に見つめて軌道修正していく力」のこと。独身、既婚、家族と同居、ひとり暮らし、子育て中…。どんな状況にあっても精神的、物理的に「ひとり」の時間を作ることはできます。「ひとり力」をつけることで、ほっとしたり、リフレッシュしたり、 リラックスしたり、将来のことを楽しく想像したり、今までの振り返りをしたりできるようになれば、慌ただしい毎日も、心穏やかに過ごせるようになります。本来のあなたを、あなた自身の手に取り戻すひとつの手段が「ひとり力」をつけることです。第31回の今回は、「ひとり時間」の振り返りで、過去の自分からヒントを得ようをテーマにお伝えします。

コツコツ記録した軌跡を、ひとり時間で振り返ってみよう

 「ひとり時間」を作って日記を書き、毎日を振り返っている方も多いことでしょう。出来事や感情を書き出し言語化することで、モヤモヤした気持ちを消化したり、頭を整理するのに有効です。また、日記というかしこまった形式でなくても、手帳に日々の雑感を書いたり、SNSなどに出来事を記録する方もいらっしゃるかもしれません。

 今回は、このような過去の自分の記録をひとり時間で定期的に振り返り、大きな視点で眺めてみようという提案です。ひとつひとつは些細な出来事でも、上から眺めるように振り返ってみると、自分の成長のプロセスや思考の変化が分かったり、自分の感情の動きや人生の転機にも一定の傾向があることが分かったりするからです。

過去の自分に自分自身が励まされることもある

 この連載の第29回でも書きましたが、以前私はワインやチーズなどの飲食の資格を取りまくる「資格マニア」でした。資格の勉強をするにあたり、学んだ内容や経験を綴るブログを書き続けていたのですが、後になって自分が教える立場になったとき、この初心者ブログを振り返った経験がとても役立ちました。

 というのも、知識が増えるに従い、知識がまったくなかったときにどこでつまずいたか、どんなときに困ったか、いう初心者の視点をどこかに置いてきてしまうからです。実は、初心者の視点からプロの視点になるまでのプロセスに、誰かの役に立つ何かが隠れていることが多いのです。ブログを振り返ることで、過去の自分自身に今の自分が教えられているような気がしたのを覚えています。

 私は毎年フルマラソンを走る市民ランナーなのですが、最初にフルマラソンに挑戦しよう! と思い立ったときも、ブログに走行距離や感想を日々コツコツ書いていきました。自分の記録のためだけに書いたブログですが、読者の方から「千恵さんがランニングを始めたばかりのころ、2km走っただけでバテていたことを書いてくれていたおかげで、自分だってできると励みになった」と言われ、過去の自分に励まされながら、自分以外の人も元気にできるのだな、と嬉しくなりました。

 まだ日記もSNSでの発信もしていない、という方は、自分の成長プロセスを振り返るために、ぜひ日々の経験を記録しておくことをおすすめします。日記で心に秘めていても、ブログなどで公にしてもかまわないですが、ある程度公に宣言することで自分にほどよいプレッシャーをかけるのもおすすめです。たとえ数人でも読む人がいる、と思うと、分かりやすく書こうと思って書くので文章力も磨くことができ、一石二鳥ですよ。