こんにちは。Before 9(ビフォア・ナイン)プロジェクト主宰/CONECTA代表、池田千恵です。「ひとり力の作り方」で提唱する「ひとり力」とは、「自分の頭と心を定期的に棚卸し、客観的に見つめて軌道修正していく力」のこと。独身、既婚、家族と同居、ひとり暮らし、子育て中…。どんな状況にあっても精神的、物理的に「ひとり」の時間を作ることはできます。「ひとり力」をつけることで、ほっとしたり、リフレッシュしたり、 リラックスしたり、将来のことを楽しく想像したり、今までの振り返りをしたりできるようになれば、慌ただしい毎日も、心穏やかに過ごせるようになります。 本来のあなたを、あなた自身の手に取り戻すひとつの手段が「ひとり力」をつけることです。第28回の今回は、「ムダ会議撲滅! 会議の前の“ひとり時間”のすすめ」というテーマでお伝えします。

何も決まらない、変わらない会議に困る私たち

 某金融機関にお勤めの方が、会議で決まったことがなかなか実行されないことに対する疑問を面談の機会に上司にぶつけたところ、次にように言われて会話が終わってしまったそうです。

「うちの会社ってそうなんだよね。“じゃあこうしましょう“と決めて全員が“はい“と答えるのに、誰もやらないんだよね」

 海外での生活が長く、英語での会議に慣れている方からは、このような話を聞きました。

「日本では、議論をするためにミーティングや会議をしていると思って出席したのに、意見を言うとすごく浮いてしまいます。なので、意見は極力言わない習慣がついてしまいました。でも、この癖がつくと日本語のときだけでなく、とりわけ英語を使う場で意見を求められたとき、すっと意見が口から出てこなくなるのであまりよくないな、と感じています」

ムダな会議は「発表会型」になっている?

 会議とは本来、自分ひとりでは決められないことを決めたり、思いつかないことをみんなで考えたりする「アイディア創出」の場であるはずです。しかし現実を見ると、

「会議をしても議論が前進しない」
「意見を話すのに躊躇する」

という悩みは絶えません。

 最近私は教育現場においてプレゼンや会議の進め方について指導をする機会が増えてきているのですが、行動できない、変わらない会議と、一方通行で受動的な授業にはなんとなく共通点があるのではないかな? という気がしています。

 私の場合、自戒を込めて振り返ると、小さい頃から先生が話す授業を受動的に聞いて勉強する「発表会型」で育ってきました。授業中に発言するという機会が少なかったため、そもそも答えのない課題を議論しながら答えを見つけていくことになかなか慣れませんでした。考えがまとまっていない中で発言することに怖さを感じてしまうのです。

 なぜ怖いのかというと、発表するからには「完璧」な答えをしなければいけないと気負ってしまうからです。気負いがあるので発表の場合はしっかりと準備する点は良いのですが、せっかく準備したものを相手に否定されると、まるで自分という人間をまるごと否定されたように思う怖さを抱えてしまうのです。

 その結果、「自分を否定されるくらいなら、発言しないで黙っていたほうがまし」「ちゃんと準備できてないから、今は発言するのはよそう」という考えになり、結局意見も言えないまま会議が終わるのを静かに待つ。だから自分たちが決めたという責任感もわかず、決められたことをどこか人ごとのように冷めて見る、というスパイラルが生まれてしまうのではないでしょうか。

 とはいえ、「昔からそうやってきたのだから仕方ない」で終わらせていては、いつまでたってもムダな会議は終わりません。

 仕事に家事に趣味に忙しい私たち。ムダな会議でダラダラして時間をつぶしてしまう暇はありません。だったらここで、私たちからできる会議変革を考えてみましょう。

 そこで参考にしてほしい考えが、前回も紹介した「自分ハブ化計画」です。ハブとは、ネットワーク機器の「hub」や、ハブ空港の「ハブ」です。つまり、自分をいったん経由して物事が進むよう、ヒト・モノ情報の段取りを整え、それに周囲が自然に従ってもらえるように工夫するのです。会議を仕切る立場になくてもできるちょっとした技を紹介します。