依存症の何が悪いか?

 話をスマホに戻しましょう。私はこれまでA子さんのような習慣を日常的に繰り返してきました。頭は疲れ切っているのですが、何せ交感神経が高ぶっているため、何かしないと気が休まらない。そこで一番手っ取り早いスマホに手が伸びるのです。心は一安心なのですが、その間も神経も頭も働きっぱなし、さらに疲れが増すのにスマホを見続けるという悪循環。

 ここ何年かの間「スマホ依存」という言葉が聞かれるようになりましたが、これもそれに該当するのではないかとハッとしました。ストレスや疲れをとるためにスマホを見ているのですが、肝心のストレスや疲れがとれないため、さらにのめり込んでやってしまう、のめり込んでやればやるほど、スマホの副作用をもろに受けてしまうのです。

 ストレスや欲求不満を直接的ではなく、別の一見手っ取り早いはけ口(例えば、アルコール、タバコ、食べ物など)で解消・解決しようとする行為が依存症の始まりだとしましょう。依存症は依存対象自体に問題があるというよりも、いつまで経っても問題自体が解決されないこと、その結果、解消・解決の代替行為もいつまで経ってもやめられず、害が出るほどそれにはまってしまうことが問題なのです。

 スマホでの行き過ぎたストレス・疲労解消もこれに該当すると言ってもよいでしょう。

 また、代償行為自体に依存性があるとさらに問題がややこしくなっていきます。実は、スマホ自体にも依存性を助長する要素がいくつかあります。そしてそれらが複雑に絡み合って、負のスパイラルをつくっているのです。