アメリカで注目が集まっている「ハピネス研究」を知っていますか? この分野では、「働く人の精神がどのように仕事に影響するか」についての研究が行われ、それが実践の場でも取り入れられています。本連載では、翻訳・通訳者の相磯展子が、「ハピネス研究」をはじめとする海外の仕事観を紹介していきます。違った視点に触れることで、悩みを解決するヒントがきっと見つかるはずです。

 会社での長い1日が終わり、やっと帰路についたA子さん。電車に乗って、ほっと一息。そして、早速スマホを取り出し、とりとめもなくSNSサイトをスクロールしはじめます。動画や記事を次から次へとクリック。そして、気づくといつの間にか最寄り駅に着いています。周囲には目もくれず帰宅するまで、スマホを見っぱなし。実はA子さん、朝の通勤時もこれと同じ状態。会社でのストレスをやり過ごすかのように、スマホに終始釘づけ。A子さんが頭を空っぽにできるのはこのスマホをやっている時間だけ……。

 さて、これを読んで「私も!」と思った人は、赤信号です!

 なすがままに、スクリーンをスクロールし続けるこの行為、はっきり言って脳にとってはまったく休養になっていません。それどころか、息抜きスマホがやめられないという悪循環にはまっています。そしてそれが、かえってあなたの疲労やストレスを助長しているのです。

 スマホやPCの普及とともに、私たちがスクリーンを見る時間は格段に増えました。それと同時にこれまで以上に大量の情報に晒されています。これが、私たちに影響しないわけがありません。しかし、私たちはこのことについて考えることがあるでしょうか? あまりにも普通になり過ぎて気にも留めないスマホやPCの使用は、私たちが思っている以上にストレスを軽減するどころか、増幅し、集中力を高めるどころか、低下させているように思います。

 本コラムでは今後数回に渡って、スマホやパソコンなどのツールとの付き合い方について考えてみたいと思います。

 最初はスマホ使用についてです。あなたはスマホとうまく付き合えていますか? そんな問いについて考えてもらうために、息抜きスマホに潜む問題や、自覚を持ってスマホを使うことの重要性についてお話します。