代替案がマイナスに働く理由とは

 一方、チューリッヒ大学の研究者ナポリターノとフロイントは、目標達成においてB案がプラスに働く場合とマイナスに働く場合を検証しました。

[引用]B案が目標達成においてあなたを助けるか、邪魔するかはナポリターノとフロイントが「complexity value」と呼んでいるもの、つまり一つの目標だけを目指すことに比べて、B案があることで生じる余計なコスト、メリットによって決定します。たいていの人は代替案に伴うこのコストを正確に把握できていないのです。
(Association for Psychological Science「When Backup Plans Backfire」)

 私たちの多くはB案が無条件に良いと考えがちです。しかし、B案によって時間や労力などの限られたリソースをいたずらに取られてしまうこともあり得るのです。

[引用]良かれと思い立てるB案だが、戦略を考え、実行するためのさらなる時間的コストが目標達成の失敗の引き金になりかねない。研究者達によると、特定の状況下でB案がプラスに働くか、マイナスに働くかを判断する絶対的な方法は存在しない。そのため、与えられた状況の中で、B案の本当のコストとメリットをしっかり考えるべきなのだ。
(同上)

 思い当たることはありましたか? 次のページでは、代替案があった方が良い場合・持たないほうがいい場合の違いについて、考えていきましょう。