自分の成果を自信に変えられない「症候群」がある

 こうしてついつい日本人らしさを発揮してしまったのですが、謙虚に振る舞おうとするのは、日本人の礼儀なのでしょうか。

 テレビなんかをつけると30代くらいの俳優さんが「いえいえ、私なんか……」というふうになんとも謙虚にインタビューの質問に答えていたりします。30歳といえばそれなりの年数のキャリアがあるはずなのに。

 内心では「私はそれなりのキャリアを積んでいて、自信もついた」と思っているけれど失礼にならないように、「私は大したもんじゃないから失礼があるかもしれないけど、堪忍してください」と謙虚に振る舞っているのかもしれません。謙遜の美学にはいまだに混乱します……。おっと、いけない、いけない、関係ない方向に話がそれてしまいました。

 さて、私が上述の言葉を口にしてしまったのは理由があります。それは「今まで人前で話をした経験がさほどない私がなぜ?」と思ってしまったからです。それでも招待してもらったのには私の能力を買ってもらったからなのですが、それを認めることができない自分がいたのです。

 自分の成果を自信に変えられない状態は一般的に「インポスター症候群」と呼ばれています。つまり、自分が出した成果を自分のものとして認めることができない人のことです。

 この傾向がある人は自分の成果を「単なる運やタイミング、もしくは自身が考えるよりも周囲に頭が良く、有能であるかのように見せかけた結果として片付ける*1」のです。