炭水化物の中でも、ごはんがよい理由

 さらに伊達さんは続けます。「糖質制限ダイエットでは、ひたすら炭水化物を制限しますが、糖質が多いものをすべてひとくくりに考えるのは栄養学的には間違いです」

 日比野さんの話にも出たように、食後の血糖値が急激に上がると糖化を招きやすいのですが、さらに、インスリンが過剰分泌されるため血糖値が急降下する。こうして高血糖から低血糖へ急激に変わると精神的な揺らぎを生み、うつ状態にもなりやすいと伊達さんは指摘します。

 「血糖値は緩やかに上げて下げるのがいい。そのためには、血糖値を急激に上げ下げしないごはんがいいのです。また、ごはんは腹持ちがいいので甘いおやつを食べたくなる欲求も抑えられます。まずは、ごはんをきちんと食べる習慣を付けることをお勧めします」(伊達さん)

データを交えた伊達さんの話に、会場の皆さんもじっと聞き入ります
データを交えた伊達さんの話に、会場の皆さんもじっと聞き入ります

 ごはんにはさらに、水分をしっかり取れるというメリットがあると伊達さんは言います。「ごはんに太るイメージがあるのは食べた後におなかにずっしりくることが大きいのですが、これは、ごはんは調理の際、水分をたっぷり中に封じ込めるので、水分を多く取ることになるためです。水分は美容と健康のために必要なもの。ごはんを主食にしてお味噌汁やお茶を付ければ1食500ミリリットルぐらいは軽く取れるので、ミネラルウオーターなどもこまめに取る必要はありません」(伊達さん)。また、主食を温かいごはんにすると冷えも解消するそう。

 食事パターンは、主食をなるべくごはんとし、温かい汁物、動物性タンパク質が取れるメインディッシュ、野菜のおかず、漬物・フルーツなどとするのが基本。食事の際の器の大きさも重要で、「サラダだけやたら大きい器というのはバランス的に間違っています。汁物を大きな器で食べる人もいますが、ごはんと汁物は同じ大きさの器で取ってください」と伊達さんは注意を促します。「太る原因になることもある夜は控えても、朝、昼ちゃんとごはんを食べる。1食180gが目安なので、夜を控えるならお昼はかつ丼でもOK。お昼にかつ丼を食べたら、絶対間食しません。甘いものの誘惑に勝つには『準備』が必要なんです」

 忙しい朝でも簡単に作れるお勧めごはんメニューの一つは、ビーフジャーキーとナッツ入りのスープごはん。「牛肉はタンパク質の中でも鉄分が豊富なので、貧血が解消できます。また、体を温めるショウガとツナを合わせたおにぎりは、冷凍しておくと便利です」(伊達さん)。もち米からできているお餅も簡単に焼けるので、お米を取りやすい食品の一つ。「ランチでパンかライスかを聞かれたらライスを選ぶ、それだけで人生変わるかもしれません」と伊達さんは言います。