企業によって運用ルールはさまざま

 なぜこのような方法を取っているかといえば、法律では賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことが定められているからです(労働基準法第24条2項)。そのため、「来月に代休を取るからよいだろう」という臆測で、最初から35%の割増賃金分しか支払わないというのは、本来は認められていません。

 しかし、運用上こうした細かい計算をしていない企業が多くあるのも事実で、代休を取ることを前提として35%の割増賃金のみを支払っている会社もあるでしょう。後から控除されない、という意味では、一見よさそうに見えますが、もし実際の代休が取れなかった場合は、100%分の給与が支払われていないことになってしまいます。

代休制度がない会社もある

 「代休制度があるのは当たり前」と思っている方も多いかもしれませんが、実はそうでもありません。

 法律上は、休日出勤をした代わりに従業員へ代休を与えることまでは義務付けていないのです。つまり、就業規則等に代休制度が設けられていなければ、代休を自由に取ることはできないことになります。

代休が取れるのは、今の会社に制度があるから。実は「当たり前」ではありません (C) PIXTA
代休が取れるのは、今の会社に制度があるから。実は「当たり前」ではありません (C) PIXTA

 仮に、振替休日を利用する場合も、就業規則等の定めが必要となり、この場合は、事前に休日と振り替える労働日を決めておかねばなりません。

 休日に働いたからといって、必ずしも休まなければならない、ということではありません。会社によって運用はさまざまなので、まずは会社のワークルールを確認してみましょう。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA