男性育休には特例もあり

 育児休業は法律上、原則として、子ども一人につき1回取れることになっています。女性の場合は、産前産後休業から引き続き育児休業を、子どもが1歳になるまで取るケースは多いといえるでしょう。

 ところが男性の場合は2回取れるという特例があります。これは、配偶者の出産後8週間以内の期間に育休を取った場合は、男性はもう一回取得できるというもの。例えば、出産直後の妻の大変な時期に育休を取り、その後妻が職場復帰するときに再度育休を取ってサポートする、といった方法も取れるわけです。

 また、育児休業は保育所に入れないなど一定の延長理由がない限りは、子どもが1歳になるまで取れることになっていますが、夫婦で育休を取得する場合は、子どもが1歳2カ月に達するまで取ることができます。これを「パパ・ママ育休プラス制度」といいます。

夫婦で育休を取る、という選択肢もある (C) PIXTA
夫婦で育休を取る、という選択肢もある (C) PIXTA

 現在は異なりますが、育児・介護休業法が改正される前までは、配偶者が育児休業中や専業主婦(夫)である場合に、労使協定によって育休取得の対象者から除外することが可能でした。このため、「妻が専業主婦だと育休は取れない」と、いまだに思い込んでいる方もいるかもしれません(もし今でもこうしたルールがあるとすれば、それは無効です)。

 紗世さんの会社のように、男性社員の育児休業はタブーな雰囲気、という職場は少なからずあるでしょう。一方で、育休を取りたいと希望する男性もいます。Tさんが本気で育休取得を考えているなら、それは無理だと否定せず、まずは上司に相談するように話してみてはいかがでしょうか。

 こうした現場で働く人の声から、職場の休み方について改めて考え、会社の風土を見直す契機となるかもしれません。

文/佐佐木由美子 写真/PIXTA