入社1年未満の場合は要注意

 今回の改正で、気をつけたいことがあります。それは、入社したばかりで、支給開始日以前の期間が12カ月に満たないケース。この場合、次の(1)(2)のいずれかを比べて、少ない方の額を使用して計算することになります。

(1)支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
(2)協会けんぽの場合は28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)

 健康保険組合によって、(2)の平均額はかなり違ってきますので、ご自分が入っている健康保険組合または会社に確認してみるとよいでしょう。

 たとえば、入社して3カ月のAさんが、病気で入院し、傷病手当金を申請したとしましょう。Aさんの標準報酬月額は34万円で、協会けんぽの被保険者です。この場合、明らかに支給開始日以前の期間が12カ月に満たないため、34万円と28万円を比べて少ない方、つまり28万円をもとに1日あたりの支給額が計算されてしまうことになります。

 このように、転職をして1年未満の方は、計算方法の変更に注意が必要です。また、協会けんぽの場合、転職する前も協会けんぽに入っていて、離職していた期間が原則1カ月以内であれば、転職前後の標準報酬月額を通算して計算します。協会けんぽ以外の健康保険組合については、各規約をご確認ください。

 なお、これまで傷病手当金を受給していた方についても、2016年4月1日支給分からは新しい計算方法で支給額が計算されますので、その点も合わせて覚えておいてください。

文/佐佐木由美子

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