もし、副業制度が導入されたら?

 ロート製薬に先駆けて、サイボウズも副業を完全に自由化してダイバーシティ経営を進めているように、副業・兼業を会社公認とする職場は、今後増えてくる可能性はあります。

 もし、自分の会社で副業が制度として認められるようになったらどうでしょう? 会社によっては、仕事に不慣れな新入社員はNG、「入社3年以上」など、対象者や就業内容を限定する場合もあるかもしれません。こうした社内のルールは最低限おさえておくべきポイントです。

 フレックスタイム制のように、働く時間を自分の裁量で決められる場合は、プライベートの時間も活用しやすく、副業に向いているといえるかもしれません。一方、看護・介護系など深夜のシフトもある業種では、体力面での配慮からなかなか他社での就業は厳しく、副業には不向きな業種と言えます。

 企業側が副業で最もセンシティブになっていることは、情報漏えいのリスク。そして、会社の信用・ブランドを汚すことです。この2つは、特に注意しなければなりません。副業で、自社の名前や肩書を出すようなことは基本的にNGと考えてください。

 もうひとつ気をつけたいことは、労働時間と健康状態です。終業後にたった2時間働くとしても、フルタイムで1日8時間の仕事をしていたら、合わせて10時間。こうした残業の積み重ねが、健康を害するおそれもあります。睡眠不足や疲れがたまって、本業にミスが出るようでは、副業をする意味がありません。もともと本業で残業が多い場合は、慎重に検討すべきです。本業を疎かにせず、ベストな状態で勤務すべきことは、言うまでもありません。

 ちなみに、本業の会社から、終業後に副業先の会社に行く途中に事故にあったら、通勤災害として取り扱われます。ただし、副業先での給与をもとに給付金が計算されるため、かなり少ない給付額となってしまいます。普段の通勤であれば手厚い給付が受けらますが、こうした点は副業における落とし穴と言えるでしょう。

 ただ、別の会社で働くことだけが副業ではありません。たとえば、自宅で料理教室を開いたり、得意なイラストを描いたり、講師をしたり…様々な働き方が考えられます。もっと身近に、ネットオークションやアフィリエイトなど、場所や時間にとらわれることなく、お金を稼ぐ人もいるでしょう。

 顧問先でダブルワークを公認している会社があります。そこでは、総務部門で働く女性が、専門性を高めるために、社会保険労務士事務所で副業をし、その経験が業務に役立っている、という話を聞きました。従業員が自分の世界を広げ、仕事に役立つスキルを磨くことができ、それを会社に還元して相乗効果をもたらすことができるなら、会社にとってもウエルカムと言えるのではないでしょうか。

 時代とともに、働き方も変化しています。本来は勤務時間外に何をするかは本人の自由…とはいえ、社会人としての節度を保ち、自分が所属する会社のワークルールは必ずチェックしてください。

文/佐佐木由美子

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