受給期間延長をするためには
失業手当は、退職してから1年を超えてしまうと、もらうことができません。しかし、働ける状態になるまで、受給を保留しておくことができます。ただし、受給期間の延長手続きができる理由は限られており、この中の一つに、「事業主の命により海外勤務する配偶者に同行」することがあるのです。
延長できる理由としては、そのほかに妊娠・出産・育児(3歳未満に限る)により働くことができない場合や、病気やケガで30日以上働くことができない場合などがあります。海外派遣については、青年海外協力隊等の公的機関が行う海外技術指導による海外派遣も含まれます。こうした海外派遣や配偶者の海外転勤による場合は、入出国日の確認のためのパスポートに認証(スタンプ)を受けることが必要となります。
海外に行くとなると、すっかり戻ってきたときの再就職まで頭が回らないかもしれません。しかし、帰国後いざ働こうと思ったときには、時すでに遅し…ということに。受給期間延長を申請できる期間は、実は限られているのです。それは、働けなくなった日の翌日から30日を過ぎた日から、1カ月以内(※)。この間に、延長理由を証明する書類をハローワークに提出して、手続きを行っておく必要があります。
申請は、基本的に本人の住所を管轄するハローワークで行いますが、それ以外にも郵送や代理の方(委任状が必要)による申請も可能です。「受給資格延長申請書」のほかに、「離職票-2」や事実を確認できる書類などを提出する必要があります。
受給期間を延長すると、本来の受給期間(1年)に加えて、最大で3年間延長することができます。晴恵さんように、2~3年で帰国予定の場合は、延長期間内となるため、再び日本に戻ってきて就職活動を行うときに申請すれば、失業手当をもらうことができるわけです。
ちなみに、晴恵さんの場合、失業手当の給付日数は90日分となり、退職前の通勤手当を含めた平均給与が35万であることから、失業手当は金額として約52万円となります。こうした手当がもらえるように担保しているかどうかで、帰国後の生活も随分変わってくるのではないでしょうか。
なお、配偶者が自分の意思で海外に就職する場合や、長期の留学などに伴って海外へ行く場合には、受給資格を延長することはできません。
晴恵さんには、こうした仕組みがあることを伝えたことにより、受給期間の延長の申請手続きを準備してから出国することができました。意外と知られていないものの、知らないと損をしてしまうことは、たくさんあります。ぜひこうした制度をうまく活用していただければと思います。
文/佐佐木由美子 写真/PIXTA
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