求人募集で目にする例外事由のケース
よく目にするのは、定年年齢が60歳の会社において、60歳未満の人を募集するようなケース(例外その1)です。当たり前の話のように感じられますが、これが有期労働契約となると話は別で、法律違反となります。ちなみに、定年は60歳を下回ることはできません。
また、正社員募集で目に付くのは、例外その3の「長期勤続によるキャリア形成のための若年者等を対象」とするケースといえるでしょう。
これは雇用情勢の悪化により、特に就職の厳しい時期に正社員になれなかった年長フリーターやニートなどに配慮して設けられた例外事由です。また、日本は新卒一括採用、長期間雇用継続する中で、自社内でのキャリア形成を図るという雇用慣行があるため、それらとの調和を図るために設けられたルールともいわれています。
この場合は、「35歳未満」として、求人募集をしても違法ではありません。
ただし、
・対象者の職業経験を不問にすること
・新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇(※)にすること
を要件としており、期間の定めのない労働契約でなければなりません。
そのため、契約社員としての募集であったり、募集職種での経験が要件となっていたりする場合は、例外的事由には該当しないため、会社の求人募集の内容に問題があるということになります。また、「長期勤続によるキャリア形成のための若年者等を対象」としている場合は、下限年齢を設けることが認められていません。
なお、ここでいう「若年者」とは、35歳未満を想定していますが、必ずしも35歳と決まっているわけではなく、おおむね45歳未満を目安としています。
具体的なケースで見てみると、次の通りです。
【NGなケース】
× 40歳未満の人を募集(経理業務の経験を有する人)
× 30歳未満の人を募集(契約期間1年)
× 25歳以上35歳未満の人を募集
【OKなケース】
○ 35歳未満の人を募集(高卒以上、経験不問)
○ 45歳未満の人を募集(要普通運転免許)
※実務経験を要する資格でなければ、必要な免許資格を設けることは可能
求人募集に際して企業側が年齢制限を設ける場合は、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務付けられています。求人スペースが限られていてうまく表示されていない場合でも、上記のポイントを参考に、正当な年齢制限であるかどうか見極めるようにしたいものです。
文/佐佐木由美子 写真/PIXTA