今回のご当地レトルトカレーは大きく分けて3つのパターンに分かれる。「ご当地食材」「老舗の味・ブランド」「海外ご当地」だ。それぞれチェックしてみよう。

ご当地代表の食材はブランド肉や魚介、伝統野菜が満載

 購入する時の目安になるのは、どんなご当地感があるかだ。特に食材は分かりやすく、金沢の伝統野菜や広島の牡蠣など、名産食材が揃った。

商品名にご当地や食材を銘打った商品が多い。中身のイメージがわかりやすく購買力が高まりそう
商品名にご当地や食材を銘打った商品が多い。中身のイメージがわかりやすく購買力が高まりそう

 まず注目を集めたのが、「広島名産 かきカレー 中辛」(レインボー食品、500円/200g)だ。一気に漂う牡蠣の香りがたまらない。「牡蠣がゴロッと入っていて、スペシャル感がある。お酒にも合いそう」(牛田さん)。「だしのうま味が出ている。500円出すのは勇気がいるが、この味は高級感がある」(大迫さん)。

 「金沢カレー」(佃食品)からは3シリーズが揃った。レンコンとサツマイモを使用した金沢伝統野菜、能登産かき貝、石川県産牛肉と食材の豊富さをアピール。「このシリーズは全体的に具材とルーのバランスがよい。特に牛肉がしっかりしていて食べ応えがある」と常備したいほどに気に入った様子の牛田さん。さらに北海道産の牛乳から製造された「クリームチーズカレー」(北都、600円/220g)に関しては、「パッケージの牛の優しい感じと北海道産クリームチーズの濃厚で優しい味わいがマッチしている」(伊能さん、大迫さん)とパッケージデザインも高評価だった。

 レトルトカレーによく使用される食材が鶏肉だが、秋田の比内地鶏を使った「比内地鶏カレー(秋田味商、500円/200g)に古川さんは「地鶏ならではのうま味としっかりした肉質に安定感がある。ご当地土産としても受けがよさそう」とコメント。「鶏肉と玉ねぎのうま味がマッチしていてカレーの王道をいっている」と伊能さんも高評価だった。

歴史ある老舗の味がご当地カレーに変身

 ご当地それぞれには、文化の継承や老舗レストランの味をレトルトカレーにして名物にしている商品もたくさんあった。

ブランド力重視のレトルトカレーが多く、パッケージにはご当地の建物や象徴を掲げる商品が多い
ブランド力重視のレトルトカレーが多く、パッケージにはご当地の建物や象徴を掲げる商品が多い

 北海道・函館を代表するレストランといえば「五島軒」だ。1879年創業の老舗の味が楽しめる「函館カレー 中辛」(五島軒、350円/200g)が定番だが、今回は、同じく五島軒が函館限定で販売している「蘆火野(あしびの)カレー」(五島軒、600円/210g)に注目が集まった。こちらは五島軒をモデルとして書かれた小説「蘆火野」の著者である船山馨氏に振舞ったビーフカレーの味を再現したものだ。「牛肉とマッシュルームの具が贅沢。欧風テイストの上品なコクがいい」(大迫さん)。「マッシュルームがよいアクセントになっている。年齢を気にせず家族層に支持されそう」(古川さん)

 愛知県民の家庭の味といえば「マースカレー」だ。1962年発売のロングセラー「マースカレー レトルト版」(オリエンタル、230円/200g)に注目したのが伊能さんだ。聞けば、オリエンタルのオリジナルスプーンを学生の時に愛用していたという。「子供が喜ぶおいしさ。あのスプーンで食べたかった」とコメント。同社は他にも「なにわの牛すじ黒カレー」(330円/200g)や愛知名産の八丁味噌を使用した「肉味噌カレー」(320円/180g)と、個性的なラインナップが豊富だ。

 スパイスの使い方がピカイチだったのが「TSUNAMI よこすか海軍カレー」(調味商事、550円/200g)だ。カレーの街横須賀市のドブ板通りの人気店が作るカレーには、他のレトルトカレーに一線を置く専門店のうま味が満載。「爽快さと深みのバランスの良いスパイス感が口の中にどんどん飛び込んでくる。それでいて後味はすっきり。男性にも食べてほしい」(伊能さん)。

今注目のアジアンエスニックもご当地レトルトカレーに!

 今やパクチーブームがけん引し、東南アジアの料理が注目されている。タイカレーはその先駆けといえるが、ベトナム、インドネシア、マレーシアからも参戦だ。アジアンエスニックに精通する審査員が4人中3人もいるこのジャンル。普段はレストランでカレーを食べることが多いというが、レトルトカレーとなるとその評価は?

鮮やかな南国カラーが目を引く商品ばかり。アジアンエスニックカレーに食べ慣れていない人も、パッケージのイメージでわかりやすい
鮮やかな南国カラーが目を引く商品ばかり。アジアンエスニックカレーに食べ慣れていない人も、パッケージのイメージでわかりやすい

 東京と千葉で8店舗を運営する「ベトナムレストランピーフォー」がレトルトカレーの販売を開始。“やみつきベトナムシリーズ”のレトルトカレーに注目が集まった。「ベトナム蟹カレー」(P4、350円/160g)は、魚介料理の豊富なベトナムの辛口カレーだ。「カニの存在感すごい!」、古川さんと牛田さん。「カニに卵が入っているんですね。まろやかと思えば後から辛さがしっかりくる」(牛田さん)、「辛さが迫ってきてクセになる。ビールに合いそう」(古川さん)。一方、同シリーズ「ベトナムチキンカレー」(P4、350円/180g)には、「個人的には辛口カレーが好みだが、この甘口はいい。ベトナムや隣国ではカレーにサツマイモを入れることが多く、素材の甘さが活きている」(伊能さん)。同じく辛口カレーが好みの大迫さんも「ココナッツミルクのテイストが食べやすい。甘口カレーの印象が変わった」と高評価だった。

 「dfeバリ風ココナッツジンジャーカレー」(ドーバーフィールド ファーイースト、350円/180g)には、パッケージに“アジアンご当地カレー”の文字が。「これほど生姜(ジンジャー)の存在感が出ているのは他にはないのでは? カシューナッツのうま味がまろやかに広がる」(牛田さん)。「ココナッツミルクと生姜のシャキシャキ感が半端ない。食べ慣れた味で長粒米だけではなく、日本の米にも合う」(古川さん)。

 ご当地レトルトカレーは、人気が上がることに比例して、厳選食材を使用した高額商品も増えている。試食中、「今や500円のカレーは普通」と感じている伊能さんと「500円は高い」という他の3人とのやり取りがおもしろかった。

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