「私は本番に弱い」という呪いを解く

 小さいころから言われ続けていたり、自分自身も失敗を何度か繰り返したりすると「私は本番に弱い」という暗示にかかってしまうことがあります。しかし、本番で失敗したのは「たまたま」です。十中八九、本番に弱いなんてことはあり得ないのです。ですからその呪いに縛られる必要はありません。

 実は私も昔から親に「おまえは本番に弱いから」と言われていたこともあり、そのせいで自分が「本番に弱い」とずっと思い込んでいました。今振り返れば、親は「失敗させたくない」という愛情でこの言葉をかけていたことが分かりますが、この思い込みから容易に逃れることはできませんでした。

 しかし、結婚後、何かの機会に登壇した時、たまたまうまく話すことができ、それを見ていた夫はいつも「千恵は本番に強いよね」と言ってくれるようになりました。その結果、いつの間にか「私は本番に強い」という暗示を自分にかけることができるようになり、本当に本番に強くなったのです。

 周囲の「あなたはこうだから」という否定的な断定は、受け取り拒否してしまって良いのです。逆に、肯定的な断定は喜んで受け取り、自分のものとしてしまいましょう。

 先日のセミナーで泣いていたあなた。相手は敵ではありません。あなたが心を開けば、きっと周囲は味方をしてくれるはずです。興味の先が相手になったとき、「自分が自分が」のときには気づかなかった、みんなの温かい気持ちをきっと受け取ることができるでしょう。大丈夫! 世界はあなたが思っているよりもずっとやさしいのです。

文/池田千恵 写真/PIXTA

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