「ここ一番!」と思うほど空回りするのはなぜ?

 私は小さいころから、発信に関して苦手意識を持っていました。特に、ここはしっかりしなければいけない!と思えば思うほど、肩に力が入り、空回りしてしまうのです。今ではすっかり克服したので笑い話にできますが、当時は心がつぶれるほど辛かったものです。学生の時の思い出だけピックアップしても、次のようなものがあります。

小学校の授業中、演劇の感想を一言言いなさい、と指名されました。ただ「面白かったです」とでも言っておけばいいのに、心にわき出る思いをどうやって言葉にしていいのか分からず、2~3分無言で立ち尽くしてしまいました。先生はあきらめて、「もういい」と言って私を座らせました。言葉がうまくでてこない、あのときの無力感は今も思い出すとちょっと辛くなります。

小学生のとき、学級委員に一瞬推薦されましたが「おとなしいし人前で話せないから千恵ちゃんは学級委員には向かない」と他の児童が言ったため、推薦が取り消しになってしまいました。学級委員になる自信はなかったものの、自分で辞退するのと取り消しになるのとでは印象は大きく違います。こんなことになるなら最初から指名しないでほしい、と悲しくなりました。でもこの悲しさをうまく伝えられずに心に秘めました。

中学生のとき、好きな男の子がいましたが恥ずかしくてうまく話すことができませんでした。あとで友人に「○○君が、千恵ちゃんのこと、あいつは暗いって言ってたよ」と教えられました。(今考えると、その友人もその子を好きで、邪魔したかったのかもしれませんが)思うように言葉を話せないと、暗い、と思われてしまうんだ、ということが分かりました。

大学生のとき、英語の授業で前に出てスピーチをすることになりました。何度も練習して自信をつけたはずだったのに、原稿を持つ手がぶるぶる震えて、震えすぎて原稿が読めなくなり、声がうわずり練習の成果を見せることができませんでした。