「自分が自分が」アピールが増えてきたら空回りのサイン

 人は結局のところ、自分に(自社に)どういったメリットがあるかにしか興味がありません。ですから、あなたが何かを相手に伝えるとき、次のようなことを頭の中で考えるのは自然なことです。

◎こういう結果になると「自分が」うれしい

◎この提案が通らないと「自分に」不利益がでる

◎相手の考えは間違っていて「自分が」正しいから、論破しなければならない

 しかし、あなたの話を聞いてくれる人もまた、自分に興味がある人なのです。ですから、あなた目線の話をきちんと翻訳して、相手目線に変換する必要があるのです。

 例えば営業の提案を他社にする場合も、思い入れが強すぎると「これだけの時間をかけたんだから、結果を出さなければ」と思うせいか、「苦節何十年の渾身のプロジェクトです」「この準備のために○億円投下しました」というように、時間や金額を出して話を進めるたくなる場合もあるでしょう。しかし、あなたがいくら時間をかけたとしても、何時間資源を投入したとしても、それは相手にとってはどうでもいい話かもしれません。

 会社で決裁権を持つ人は、間違いなく会社の利益に敏感です。「時間や金額」でなく「投資対効果」のほうが重要だと思われる可能性が高いでしょう。だとすれば、同じ内容でも「こんなに少ない時間で、これだけの効果がありました」と伝えたほうがいいのです。

 「仕事ができない」と思われないためのセルフチェックでも述べましたが、「で、それって私(自社、自分の部署)に何のメリットがあるの?」という疑問に答えるために、あなたの主張を、相手のメリットに絡めて伝えるように意識することが大切です。表現の割合でいうと、YouとIの比率は9:1くらいでちょうど良いと覚えておきましょう