「仕方がない」という言葉が出てきたときは思考停止のサイン

 私は職業柄、出版社や新聞社の方から取材を受けることが多いのですが、「私たちなんて、働き方改革の記事を書きながら残業しているのが実情で、我ながら矛盾してるなーと思います」「相手がいる仕事だから仕方がないんですよね」と自虐的に苦笑いしている方が多いです。マスコミ関連は⻑時間労働が常態化している職場の一つではないかと思います。そんな中で自分の主張をどうやって通していけばよいでしょうか。解決策を探っていきましょう。マスコミ業界に限らず、長時間労働改善のヒントとなるはずです。

 今回メールでのご相談で、質問してくれた方の詳しい環境までは分からないのですが、まず、相談してくれたあなたの不満、モヤモヤした感覚は合っているので安心してください。ただ気になるのは「こういうものか」「仕方がない」という言葉。モヤモヤしながらも自分の中で納得させようとしていますが、そのモヤモヤをうやむやにして放っておかないでください。放っておくとあとで痛い目を見ることになります。いつのまにか「長時間残業は仕方がない」とあきらめる渦に巻き込まれ、思考停止に陥ります。「ピア・プレッシャー」だと思っていたことが、プレッシャーにさえならずに当たり前だと思い始めたら危険です。

 巻き込まれたら最後、「頑張ってるんだからなんとかなるはず」と体だけ動かして頭を動かさない状態が普通になります。今後必ずやって来る「脱時間給」「成果主義」の波が来たとき、真っ先に割を食うのが、このように「頑張ってるんだからなんとかなるはず」と自分では一生懸命頑張っているつもりで残業し、業務改善や生産性向上をしてこなかった人です。成果を出したらさっさと帰れるのに、成果を出せないばかりに長時間労働に甘んじる人に成り下がってしまうからです。