語尾の甘さは、考えの甘さ

 語尾甘(語尾が甘い)とは、相手の反応を意識して結論を変えたり、はっきり言えなくなったり状態のことを言います。実は私もかつて「語尾甘」で、会社の上司によく注意されていました。「語尾甘」な人の特徴は、自分の意見がはっきりしておらず、自信がないということです。自信がないから、相手の反応を見て意見を変えようという気持ちが言葉に現れてしまい、語尾をはっきり言い切ることができません。

 つい「語尾甘」になってしまう人は、日々の出来事に対し「自分ならどうするか?」を常に考えるよう意識してみましょう。自分の意見が言えるようになれば、少しずつ語尾甘は解消します。

 また、語尾甘を防ぐには「すぐの法則」(数字で、具体的に述べる)を意識することも重要です。例えば新製品の売れ行きを聞かれた場合は「SNSで何人かが話題にしていたので、たぶん売れていると思います」などとあいまいな言葉で説明するのではなく、「売れていると思います。ここ2日で新製品をSNSでキーワード検索したところ50件ヒットしました」といったように、数字を使って具体的に表現することで分かりやすさは格段に上がります。

あなたに察する能力があったとしても、相手が察する人とは限らない

 きっと分かってくれるだろうと意見をはっきりと口にせず、相手に「察する」を期待しないようにしましょう。

 細やかな感性や観察力を持ち合わせている人は特に、「自分がこんなに人のことをきちんと観察できているんだから、周囲も、この一言だけ言っておけば分かってくれるはず」と思ってしまいがちなところがあります。しかし、はっきり言わないとビジネスコミュニケーションにおいては誤解を生む場合が多々あります。

 嫌なことをされたときや、仕事上のコミュニケーションで思い通りにいかないとき、よく「ありえない!」とイライラしますよね。「普通分かってくれるでしょ?」「あの人はどうしていつもそうなんだろう?」といったように、つい口にしてしまいそうになる「普通」ですが、相手が悪びれもせず、しれっとしていたり、注意してもきょとんとしていたりする場合もあるということは、相手にとっては「普通」ではない、ということです。

 このように、自分自身が長年培ってきた経験をもとにした、あなたにとっての「普通」であって、それがそのまま、他の人に当てはまるかは分からないもの。みんな、生きてきた歴史が違えば、価値観も違います。

 だからこそ、あなたの意見は、誰にでも分かるような形で伝えることが大切です。「このくらいアピールすればきっと分かってくれる」と思っていても、相手には全く気付いてもらえていないことが、往々にしてあるのです。