シンプルに、思った通りに聞けばいい

 上記のように思ってしまうときは、過剰配慮に陥っています。相手が感じる配慮と、自分が感じる配慮のバランスが取れていないのです。実は、コミュニケーションはあなたが考えているよりずっとシンプルです。自分が想像した「忙しそう」は、相手が実際に「忙しい」と感じるものとはズレがあるもの。聞きたい! と思ったらその時に聞けばいいし、うまい質問の仕方を考えるために余計な時間を使う必要はないのです。タイミングが悪い場合は「ちょっと待って」と言ってくれるはずですし、質問の意図が分からなかったら、「どういう意味?」と聞いてくれるはずですから。

 また、「相手に迷惑が掛からないように、要件のみで簡潔に伝えよう」と思った結果、結論だけのシンプルなメールを書いてしまって、かえって失礼な人だと誤解されたり、そう考えるに至るプロセスをもう一度質問されたりすることもあるかもしれません。このような傾向がある方は、あなたが思いやりの心を持って考えたプロセスまでばっさり切ってシンプルにしようとしている可能性があります。用件はシンプルにしてもいいですが、配慮したプロセスまでシンプルにする必要はありません。例えば、相手が忘れているかもしれないことをリマインドするメールを送るときなどは、用件だけでなく「蛇足かもしれませんが、私はいつもこのような状況で忘れてしまうことが多いため、念のためお送りします」の一言があるだけでも印象は全く違うものになりますよね。

 かくいう私も、新卒で入った会社では質問するタイミングをうかがっているうちにどんどん仕事がたまっていき、自分なりにアレンジした仕事をするからとんちんかんな結果になり、よく注意されました。また、メールが長すぎる、と注意されたので極端に短くしてしまい、意味が通じなくなったり、失礼な表現になったりもしました。そのときに上司に言われた一言ではっとしました。

「あなたは、ふと思ったことの裏を考えすぎて違う形に変えてしまうクセがある。素直に思ったままを質問しなさい」

 その一言で、素で聞いてダメならそこで直せばいいし、自分のふと思った考えをこねくり回さなくてもいいんだ、と肩の力が抜けました。コミュニケーションは難しい、と思っているから余計に難しくなります。相手にさまざまな配慮ができるあなたなら、人をぐっさり傷つけるほど、あなたの言葉のナイフは鋭くないのです。まずは思った通り、感じた通り質問したり、伝えたりすることを意識してみましょう。