あなたの提案が通らない2つの理由

 会社を良くするための提案だと信じたあなたの意見や、皆がずっと言っていたことが、なぜ今まで通らなかったのでしょうか。

 次の2つの理由が考えられます。

1.現状の不満をただ吐き出しているだけと思われてしまった
2.変えられない前提を勝手に変えてしまっていた

 順番に説明しましょう。

1.現状の不満をただ吐き出しているだけと思われてしまった

 過去記事「仕事ができない」と思われないためのセルフチェックでも詳しく述べていますが、不満は改善策と必ずセットで伝える必要があります。そうしないと、「ただの会社の愚痴」と捉えられてしまうからです。溜飲を下げるためだけに現状の不満をアピールすると、「この人は仕事ができない人だ」というレッテルを貼られて損をするので気をつけましょう。

2.変えられない前提を勝手に変えてしまっていた

 サッカーの試合でボールを手に持ってはいけないのと同様、仕事にも「ルール」があります。

 例えば、専門の知識が必要な接客業において次のような状況があったとしましょう。

● 以前はひとつの商品の知識に秀でた職人のような「スペシャリスト」として接客スタッフを育成していた
● 3年前に会社の方針が変わり、様々な商品を広く知り、お客様に柔軟な提案ができる「ゼネラリスト」として育成するようになった

 という場合、接客スタッフが「もとのスペシャリストがよかった」「スペシャリストの育成に戻してください」といくら上司に提案しても、ルールが変わった以上変更は難しく、どう頑張っても通らないのです。(もちろん、そのルール変更がいかに会社にとって不利益を生んでいるかをきちんと説明でき、ルールをもとに戻すことで利益がでることを証明できるなら話は別です)

 これは極端な例ですが、実は「変えられないルール」を「変えよう!」と一生懸命になっている場合は多いのです。働いている人にとっては「ばからしい」と思ってしまうルールもあるかもしれませんが、現時点でそれがルールだとすれば尊重する必要があります。ルールの範囲内でどう会社を良くするかを伝えられなければ、単なるわがままに聞こえてしまいます。