アメリカの大統領選は、そもそも日本とは制度が違うので、淡々と行われる総理大臣選出に慣れている日本人にとっては、アメリカ人の反応は芝居がかって大袈裟に見えるかもしれない。しかし、それくらいこれらの出来事は異常で、現実ではないようだった。

 これまでトランプの批判や侮辱の対象となった同級生たちは、喪失感でいっぱいだ。彼らはこう語る。

トランプの批判や侮辱の対象となった同級生の声

 ヒスパニック系アメリカ人男性の同級生は、泣きながら語った。

 ■「自分の存在、尊厳、価値、“アメリカ人”であることを証明するのに、もう疲れ果てた。アメリカという国は黒人、アジア系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、LGBT、障害者、女性をはじめとする少数派を好まないかもしれない。でも、諦めずに、お互いが力を合わせれば乗り越えられると信じている」

 アフリカ系アメリカ人女性の同級生も、泣いていた。

 ■「オバマ政権が進めた、あらゆる人種や性別へ寛容な社会に対する、反動が起きている。色んな意味で多様性を受け入れられない、白人層の怒りが明らかになった。トランプ氏は選挙に勝つために、差別的な発言を繰り返したと信じたい。そうだとしても、彼に投票した人たちがこんなにもたくさんいた。トランプ氏の勝利で、彼らが、嫌悪や差別を正当化できるようになると思うと、恐ろしくて息ができない」

 白人男性の同級生は、寄り添った。

 ■「私たちもショック状態だが、彼らマイノリティの不安は、想像を絶する。白人男性には理解しようがない恐怖を、友人たちが感じている。何かできることがあったら教えてほしい。全力でサポートをする」

 マレーシア人女性の友人が話した言葉が、今でも心に残っている。